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世界的指揮者ミンコフスキが金沢で被災地に捧げる『第九』を演奏~自伝の印税も能登半島地震被災者支援に全額寄付へ

2024年3月16日 1:10
世界的指揮者ミンコフスキが金沢で被災地に捧げる『第九』を演奏~自伝の印税も能登半島地震被災者支援に全額寄付へ
提供 オーケストラ・アンサンブル金沢
15日夜、金沢市の石川県立音楽堂で、フランスの世界的指揮者ミンコフスキさんとオーケストラ・アンサンブル金沢が「第九」演奏会を開き、演奏を能登半島地震被災者のために捧げると共に、被災地支援を訴えました。

15日夜、金沢市の石川県立音楽堂で、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)が、ベートーベンの交響曲第9番を演奏しました。

指揮は2022年までOEKの芸術監督を務めたフランスの世界的指揮者マルク・ミンコフスキさん。金沢に長年ゆかりのあるミンコフスキさんは、1月1日の能登半島地震の大きな被害に直後から心を痛めていて、来日後「音楽の力が被災者を癒やす“薬”になってほしい」と語っていました。

この夜は、最初に「能登半島地震の犠牲者のために第九の前に少しだけ瞑想の時間を持たせてください」とミンコフスキさんは客席に語りかけ、「先日亡くなった私の大好きだった指揮者小澤征爾さんがよく『追悼の曲』として演奏していた曲です」とJ.S.バッハの「アリア」を演奏しました。その後、拍手を入れずに続けてベートーベンの交響曲第9番が演奏されました。

ミンコフスキさんとオーケストラ・アンサンブル金沢は2021年からベートーベンの交響曲全曲演奏会を開いてきましたが、コロナ禍で入国することが出来ず、最後の第9番だけは演奏することができませんでした。

今回、ようやく3年ぶりに実現したミンコフスキさんとの第九の演奏会。ミンコフスキさんとOEKは、時に激しい葛藤にあふれ、時に深い祈りに満ちたベートーベン最晩年の音楽を、速めのテンポで生き生きと色彩豊かに奏でていきました。

そして、4人の独唱と合唱が入る第4楽章では、ドイツの文豪シラーの「歓喜に寄す」の詩により、「全ての人々は兄弟となる。抱き合いなさい、幾百万の人々よ」と友愛と平和を希求するベートーベンの精神が高らかに歌い上げられると、客席はスタンディングオベーションとなり10分近く拍手が続きました。

また会場では、今月出版されるミンコフスキさんの自伝本の日本語版『マルク・ミンコフスキ ある指揮者の告解』(春秋社刊)の先行販売も行われました。この本の初版の印税全額と売り上げの一部は、ミンコフスキさんの強い希望で能登半島地震被災者支援の義援金に寄付されることになっています。

終演後、ミンコフスキさんは「少しでも被災者支援の助けになれば」と、著書サイン会に並んだ多くのファンら一人ひとりのサインの求めに1時間以上にわたって丁寧に応じていました。

3月18日には、東京・サントリーホールでも、ミンコフスキさんとOEKのベートーベンの交響曲第6番と第5番の演奏会が行われ(前売り分完売、当日券若干あり)、こちらでも募金活動やミンコフスキさんの自伝の販売とサイン会が予定されています。