原発事故で屋内退避…範囲は? 期間は? 原子力規制委 効果的運用の検討チームが初会合
能登半島地震をきっかけに、原発事故時の屋内退避のあり方を議論する検討チームが発足し、初会合が開かれました。
22日、原子力規制委員会で開かれた「屋内退避の運用に関する検討チーム」の初会合には、外部の専門家や自治体関係者らも参加し、議論が交わされました。
国の原子力災害対策指針では、原発事故が起きたとき、「原則半径5キロ圏内の住民は直ちに避難」「半径5~30キロ圏内の住民は自宅などに『屋内退避』した上で、放射線量が一定の値を超えた場合に避難」することになっています。
しかし、元日の能登半島地震では、北陸電力志賀原発周辺で建物の倒壊が相次ぎ、自然災害と原子力災害による複合災害が発生した際の屋内退避のあり方について、原発が立地する自治体から国の指針の実効性に疑問の声が上がっていました。
22日の初会合では、屋内退避により屋外で活動するときに比べ「木造家屋で約25%」「コンクリート建屋で約50%」の被ばく低減効果があるという原子力規制委の試算など、屋内退避の有効性が改めて示されました。
一方、「地震などで建物が損壊している場合、屋内退避をするのに十分な気密性が保たれているか住民自身が判断する必要がある」「放射性物質の流入を考えると屋内退避は2日が限度」など、問題点も提示されました。
自治体から住民への分かりやすい説明方法の検討を求める声や、能登半島地震を受けての不安が聞かれる中、内閣府からは志賀地域の孤立地区の事例として、自宅が損壊した人が集会所や他の人の家に退避したことが紹介されました。
検討チームは今後、想定される原発事故のケースについて議論し、シミュレーション結果を踏まえて屋内退避の対象範囲や期間を検討、今年度内に結果を取りまとめる予定です。