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震度6強の特徴…アウターライズ地震に警戒

2021年2月15日 21:10
震度6強の特徴…アウターライズ地震に警戒

宮城県と福島県で最大震度6強を観測した地震の被害は大きく、東北新幹線の一部区間で運転見合わせが続くなど、東北地方へのアクセスは困難な状況が続いています。社会部災害担当の牧尾記者が解説します。

──今回、福島県では、10年前の東日本大震災よりも、マグニチュードとしては小さかったのですが、揺れが強かった場所もありました。どんなことが考えられるでしょうか。

その理由は、震源の近さと、深さにあります。

東北地方の断面のイメージ図を見ると、東日本大震災が起きたのは、陸から比較的遠い「三陸沖」でしたが、今回の地震はより陸に近い「福島沖」で起きています。

震源から近ければ近いほど大きな揺れが伝わりやすく、また今回の地震は、震源の深さが比較的深かったので、より広い範囲に強い揺れが伝わりました。

──津波が起きなかったことも、震源が深かったことが関係している?

はい。東日本大震災は、東から沈み込む太平洋プレートと陸のプレートの境界で起きていて、陸のプレートが跳ね上がり海底が大きく動くことで大きな津波が発生しました。

一方で今回の地震は、この10年前の東日本大震災で大きな圧力を受けていた東から沈み込む太平洋プレートの内部、深い部分で破壊が起き発生したとみられます。震源が深く、海底への影響は比較的小さかったため、最大でも20センチ程度の小さな津波で済みました。

──今回の地震は、10年前の「東日本大震災の余震とみられる」ということですが、こうした余震活動はいつまで続く?

14日夜、政府の地震調査委員会の委員長を務める専門家は、「少なくとも10年は続く」との見通しを示しました。

特に懸念されているのが、陸から遠い場所で起きる「アウターライズ地震」と呼ばれるものです。

特徴は、陸から遠く離れているため、陸地の揺れは比較的小さく震度3や4程度の場合もありますが、一方で、今回と違って震源が浅いため、津波が大きくなりやすいということです。

実際に東北地方の太平洋沖では、1933年に昭和三陸地震が起き、これは「アウターライズ地震」だったとみられています。陸地の震度は最大でも5程度だったのに対して、東北の沿岸には高さ30メートル近い津波が襲い、3000人以上の死者・行方不明者が出たといわれています。

──震度5でも30メートル近い津波が起きてしまう可能性があるということですね。

まさに「油断しやすい」というのがこの「アウターライズ地震」の特徴で、揺れが小さくても、海で地震が起きた場合には、気象庁が津波警報を出していないか確認し、警報が出たら直ちに高台へ避難する必要があります。