過去最多の訪日外国人 地方の魅力どう伝える? カギを握る「地方誘客」【#きっかけ解説】
─いま東京の街でもたくさんの外国人観光客が来ていますよね。
はい。15日、日本政府観光局が発表した去年1年間で日本を訪れた外国人の数は、約3687万人でした。これまで最多だった2019年を超え過去最高となりました。
また、訪日外国人の年間消費額は、去年1年間で約8兆1400億円で、こちらも過去最高です。
一方でこんなデータもあります。
観光庁が分析した外国人が宿泊したエリアの最新データをみると、首都圏・名古屋・関西の三大都市圏が7割をしめ、地方は3割と都市部に集中してしまっています。
コロナ前のデータと比べても、63パーセントから69パーセントへと、都市部への集中傾向が強まっているのが現状です。
──都市部に集中すると、どんな問題があるのでしょうか?
人気観光地に旅行者が殺到するオーバーツーリズムや、ホテル代の高騰などにもつながってしまうのです。
そこで集中を解消するためには、地方に足を運んでもらう「地方誘客」が”カギ”となります。
国や自治体は、これまでにも力を入れてきましたが、今後2030年に年間6000万人の目標を掲げており、今後も訪日外国人は増え続けるとみられていて、今こそ地方誘客を推進することが重要となっているのです。
──「地方誘客」、具体的にはどういう取り組みがあるのでしょうか?
こちらは岐阜県が外国人向けに作成した県の魅力を発信する動画です。
人気観光地の白川郷などが紹介されていて、再生回数は現在1000万回を超えています。
岐阜県ではコロナ禍後、SNS戦略に力を入れたほか、実際に海外に足を運んでPRを積極的に行いました。その際には、東京や京都などからのアクセス方法もしっかり伝えているということです。
外国人が何人きてどのくらい滞在したかを示す延べ宿泊者数を見ると、去年1月から10月までで、コロナ禍前の同時期より約1点3倍になっているんです。
──ゴールデングローブ賞をとった「SHOGUN」で、さらに、注目が高まりそうですね。
こうした取り組みは観光庁でも進めています。
おととしから予算を投じて実施している「サムライ」をテーマに、武道や茶道など様々な体験ができるツアー。東京のほか金沢や山形を巡るコースになっています。
国は地方誘客を喫緊の課題として、こうした事業に対し2025年度予算案では、約464億円を投じることにしています。
──このような取り組みが進められる中で、外国人旅行者は今後も増えていきますよね。どんなことが重要になってくるでしょうか?
元観光庁長官の和田浩一さんにお話を聞きました。
和田さんは、観光客が増えていく中で、観光地やその周辺で地域住民が観光に対し、“アレルギー”を感じないようにすることがとても重要だといいます。
「住んでよし」、「訪れてよし」でなければ、その土地で観光業が持続的に発展していくのは難しい。
観光によるメリットが、いかに地域の生活にプラスになっているか実感してもらいつつ、一方で、デメリットの対策も丁寧に行うことが重要だと話されていました。
──このニュースを通じて、日髙記者が一番伝えたいことは何でしょうか?
人口が減り続ける日本では、観光はますます大事な産業となってきます。
だからこそ都市部だけでなく、地方をいかに活性化し、持続的な産業として成長させることが、今、重要となってきます。
そのためには、国、自治体、民間がより連携を強化し、効果的な戦略を打ち出すことが急務で、日本全体で観光を盛り上げていけるか、注目していく必要があります。【#きっかけ解説】