ワクチン接種の順番は…自治体アンケート
新型コロナウイルス感染拡大にともなう緊急事態宣言が、4日後に期限を迎えます。延長するべきとの声も上がるなか、菅総理がどう判断するのか、最新の動きを解説します。
■1都3県、宣言『延長』要請の方向で調整
3日、東京では新たに316人の感染が確認されました。300人を上回ったのは3日ぶりです。緊急事態宣言を期限の7日に解除するのか、3日、国会で次のようなやりとりがありました。
立憲民主党・森参院幹事長「もう延長するのか、それとも解除するのか、いつ決めるんですか」
菅総理「専門家の意見を聞いて、感染防止をしっかりするために総合的に私自身が判断をさせていただくと、そういうことであります。ただ、そんなに時間はかけられないということも、もうギリギリにきているということも事実だというふうに思います」
■リバウンドで医療現場のひっ迫が懸念
期限まではあと4日に迫っています。菅総理は判断を急ぐ考えを明らかにしましたが、周囲からはさまざまな声が上がっています。
埼玉県の大野知事は3日午前、「緊急事態宣言を単純に全面的に解除する、こういった選択は取りえない」と述べました。
首都圏の1都3県は、宣言の『延長』を要請する方向で調整しています。延長の幅は2週間を軸に調整されていますが、理由について大野知事は、重症者を含む入院患者が依然として高い水準で推移していて、医療提供体制は厳しい状況が続いていることを挙げています。
感染者数が下げ止まりしている今の状況で解除すれば、再び感染者が増える『リバウンド』が懸念されます。リバウンドが起きれば、医療現場の負担が解消されないまま『ワクチン接種』が始まることになり、さらに現場がひっ迫してしまいます。大野知事はこれを懸念しているのです。
ただ、緊急事態宣言の延長に慎重な自治体もありますので、このあと1都3県の知事で協議して、最終判断する予定です。
■「延長なら飲食業界が総崩れ」難しい判断
ただ、延長の判断は非常に難しいものになりそうです。菅総理は経済についても考えなければならないからです。
政権幹部は「宣言を延長すれば飲食業界が『総崩れ』になる」と、7日に解除したい考えを示しています。飲食店などがもう限界にきているのではないかという懸念があるためです。
一方、自民党幹部が3日朝に「延長した方がいい」と話すなど、政府与党内からは7日の解除には慎重な意見も出てきています。
■高齢者の中でワクチン接種の優先順位が…
こうした中、ワクチン接種の準備が進んでいます。まず、先月17日から医療従事者への先行接種が始まりました。現在は、それと並行して、民間病院などの医療従事者への優先接種が始まったばかりという段階です。そして4月12日から高齢者への接種を限定的に開始し、4月26日の週からは全ての市区町村に行き渡る量の配送を目指すとしています。
しかし、必要なのは3600万人が2回接種する量です。一度にすべての量が配送されるわけではありません。政府は「6月末」までに各自治体への配送を完了するとしています。
つまり、26日の週以降も、少量ずつ段階的に供給するということになります。そうすると、高齢者の中で、接種の優先順位を決めなければならなくなります。その優先順位を決めるのは、現状だと自治体です。
■高齢者のワクチン接種について自治体にアンケート
自治体は高齢者の接種の優先順位について、どう考えているのか。日本テレビは今週、東京都の島しょ部を除く自治体と関東の政令指定都市を対象にアンケートを行い、46の自治体から回答を得ました。
まず、4月末に接種を開始できるか尋ねたところ、「できる」と答えたのは58.7%でした。ワクチンがいつどれだけ届くか不透明ななかで、開始できるか「まだわからない」が37%、「現状だと厳しい」が4.3%ありました。
■接種を受ける高齢者の順番の基準は?
高齢者の接種の優先順位について何を基準にするか尋ねたところ、63%が「未定・検討中」と答え、段階的に配送されて来ることへの困惑の大きさが浮き彫りとなりました。自治体の担当者は次のように話しています。
東京都三鷹市 斎藤浩司保健医療担当部長「スケジュールを早めに確定してもらいたい。また優先順位の差は、明確化もしていただきたいなと」
■自治体によって優先接種に違いが…
ほかにも、東京都港区の担当者は、「80歳以上、85歳以上など年齢を細かく区切る、施設入所者優先など、優先接種対象者の絞り込みを『国主導』で決めるべき」、東京都清瀬市の担当者は「4月下旬の時点で必要量の数パーセントしかワクチンが供給されない見通し。接種の順番を自治体が決めなくてはならないことが『大きな負担』」などと回答しています。同様の声はほかにも多く聞かれました。
自治体で決めるということは、住んでいる自治体によって優先順位に違いがでる可能性があります。こうした事情をしっかり理解しておく必要がありそうです。
■新たな課題も
課題はほかにも見えてきました。民間病院などの優先接種の対象となっている医療従事者へのワクチンが、まだ「来ていない」と答えた自治体が39.1%もあったのです。「医療従事者への接種が進んでいない中『接種をしていない医師』が高齢者に接種する状況も想定され不安」。このような懸念の声もありました。
自治体は、変更に次ぐ変更になんとか対応しようとがんばっています。しかし、ワクチンがいつどれだけ届くか見えない中で、準備がいかに大変なのか伝わってきました。厚労省側にも事情がありますが、自治体側との『しっかりしたコミュニケーション』という点には課題があるといえます。
(2021年3月3日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)