接種率ランキング 「岡山」急上昇のナゼ
高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種率を都道府県別に見ると、トップは1週間前と同じく和歌山でした。順位を一気に上げたのは岡山で、ある“取り組み”をしていました。一方で、ペースが上がらない自治体もあります。それぞれの背景を探りました。
■トップは変わらず「和歌山」
有働由美子キャスター
「高齢者への新型コロナウイルスの1回目のワクチン接種率について、23日時点の最新のランキングを見てみます。1週間前と比べ、どれだけ進んだのでしょうか」
「1位は16日時点と同じく和歌山で、9.48%から17.47%まで上昇しました。8位までは接種率が10%を超えています。緊急事態宣言の対象地域に追加された沖縄は、3.71%だった前週と同じ18位で7.5%になりました。2.31%で32位だった東京は24位になり、6.6%です」
「以下、京都・愛知・福岡など都市部を抱えて緊急事態宣言の出ている自治体を挟み、神奈川・大阪・北海道と続きます。46位は前週の1.49%から4.34%になった千葉、47位は1.6%から3.15%になった愛媛でした。順調なところ、思うようにペースが上がらないところがあるようです」
■46位の千葉県「高齢者施設」中心
小野高弘・日本テレビ解説委員
「ペースが上がらない自治体は、接種を優先的に進めている場所があると分かりました」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「老人ホームとか高齢者施設でしょうか?」
小野委員
「その通りです。高齢者施設です。クラスターになるリスクが高いので、優先的に進めていくという考え方です。46位の千葉県は、『主に高齢者施設で接種を行い、集団接種が先送りになった』と説明しています」
「逆に、46位から16位に一気に順位を上げたのが岡山県です。接種率は1.12%から7.75%に上昇しました。県は『当初は高齢者施設を中心に接種し、その後、一般高齢者向けの接種を開始した』としていて、これが関係しています。さらに『県内の市町村ならばどこでもワクチン接種を受けられる仕組みを作った。かかりつけ医でなくても出先で接種可能』ということで、さらにペースが上がることを期待しています。助かる人は多いでしょうね」
有働キャスター
「和歌山は前週に続いてトップですが、何がうまく行っているのでしょうか?」
小野委員
「市の担当者は『かかりつけ医が積極的に接種をしています。この場合は医師と高齢者がお互いを分かっていてスムーズ。一般診療所は土日など診療時間外でも接種を行っています』と言います」
■落合さん「デジタル活用に課題」
有働
「これもありがたいですよね。自治体も頭を悩ませながら工夫して、なんとか接種率を上げようと頑張っていますよね」
落合
「緊急事態宣言の発出状況もバラバラだし、それに伴うコロナへの住民の感覚も違うので、接種率が地方によってバラバラになるのは、ある程度仕方ないかなと思います」
「一方で、デジタル活用がうまくいっていない印象があります。例えば、ワクチン接種の管理は国がマニュアルを作って自治体に渡した方が良かったかもしれないし、そうした一元管理や、ひな形を渡すといったフローをしっかり整えないとオペレーション的にできないよね、という部分です。いろんな折にずっと言っているけれど、なかなか実現しなくて困っているところだと思います」
有働
「なぜ実現しないのでしょうか?」
落合
「縦と横を両方串刺しにするデジタル改革は、デジタル庁ができた後でないと、おそらくできないのだと思います」
有働
「オリンピックの開催まで2か月を切りました。こうした、ワクチンの接種率をにらみながらの状況が続きます」
(5月25日『news zero』より)