早紀江さん“娘と再会を”夫の死去から1年
北朝鮮による拉致被害者・横田めぐみさんの父・滋さんが亡くなり、5日で1年となります。母・早紀江さんは、コロナ禍で思うように救出活動ができない中、夫が果たせなかった娘との再会をかなえるため戦い続けています。
横田めぐみさんの母・早紀江さん(85)「1年たっちゃいましたね。本当に瞬く間っていう感じで。早かったですね、いつもより(1年が)早い気がして」
43年前、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの母・早紀江さん。夫・滋さんを亡くして5日で1年となります。
早紀江さん「いなくなったっていう感じがはじめからしなくてですね、単身赴任したんだなって思うことにしようと思って」
それでも、ふとした瞬間に寂しさを感じるといいます。
早紀江さん「いつも(滋さんに)守ってもらってたなと思って」「『そういえばね、お父さん、こんなことがあって』って言おうと思って、ああそうだ、いないんだって思ってね。そういう寂しさはありますね」
早紀江さんにとって滋さんは夫であり、共に戦う“戦友”でもありました。2人で1400回以上の講演会を行うなど、43年にわたり重ねてきた娘・めぐみさんらの救出活動。しかし今、新型コロナウイルスの影響で、ほとんど活動が行えなくなっています。
早紀江さん「(めぐみさんは)どんな所にいるんだろうって、本当にどんなふうになってるんだろうって、そんなことばっかり浮かびながら」
いたずらに過ぎていく時間。拉致被害者は2002年に5人が帰国して以来、いまだ1人も救出できていないのが現状です。
この1年で、アメリカはバイデン政権に転換。早紀江さんらは今年3月、新政権で北朝鮮政策を担うブリンケン国務長官に協力を訴える手紙を送りました。早紀江さんらの言葉に、「心を動かされた」と感想を述べたブリンケン国務長官。
ブリンケン国務長官「私たちは拉致被害者家族と日本国民と完全に連帯しています」
また、翌4月に行われた日米首脳会談でも、両国が連携して働きかけていくことが確認されました。しかし、まだ目に見える進展はありません。
早紀江さん「40年以上も、本当に頑張ってきて。でもまだ何も分からない、姿も見えない、どこにどうなっているんですかって」「日本はもっと頑張ってもらいたいですね。それだけはお願いしたい」
今回のインタビュー中、早紀江さんが何度も口にした言葉があります。
早紀江さん「自分もいつどうなるか分からない年になりましたし」
去年、滋さんを亡くし、自身も85歳を迎えたことから、気弱な言葉が増えていました。しかし、希望が見えづらい中、早紀江さんにはある日課ができたといいます。それは、空や花の写真を撮ること。
早紀江さん「すごいでしょ、こんなになるのよ、燃えてるようでしょ」「本当にキレイです」
“同じ空を娘も眺めているのだろうか…”わずかでもめぐみさんとの接点を探していました。
早紀江さん「見えてるかもしれませんよ、お父さんからは。『めぐみちゃんそこにいたのか、そうか~』って言って見てるかもしれないなって」「あとは残った力をどこまで維持して訴えていくか」
夫の思いも背負い、娘との再会が実現する日まで、早紀江さんの戦いは続きます。