黒電話にラジカセも…令和の時代に「昭和レトロ」で勝負 “古さ”を逆手に温泉旅館が再起へ
レトロブームもあり、令和の時代に“昭和”で勝負するという店などが出てきています。コロナ禍で経営破綻した温泉旅館も、“昭和レトロ”を打ち出して再建をはかりました。
◇
群馬県前橋市にある“昭和レトロ”に特化したお店「REMARKET」には、ダイヤル式の黒い電話機、通称「黒電話」に、ラジオカセットレコーダー、通称「ラジカセ」など、昭和の時代に活躍した懐かしのアイテムの数々が陳列されています。
中古品の買い取り販売を行う「ブックオフ」が関わっていて――
ブックオフコーポレーション 永井裕介さん
「おそらく、昭和初期の商品となります」
歴史を感じさせる掛け時計が2万9150円で販売されていました。あなたの家にも、昭和から眠り続ける掘り出し物があるかもしれません。
“昭和レトロ”は、高齢の人には懐かしく、若い人には新しく感じるようです。
ブックオフコーポレーション 永井裕介さん
「若い方はデザイン性だったりとかにひかれて、古いモノにも価値を見いだして買っていただく傾向がある」
昔のおもちゃが入った箱をあけると思い起こされるのは、昭和の子どもたちが縁日や駄菓子屋で遊ぶ光景です。友達相手に夢中でひっくり返した「めんこ」や、昭和40年代に大流行したアメリカンクラッカーなど、“昭和レトロ”なおもちゃ29種類の詰め合わせセット(3850円)もあります。
QRコードで使い方を動画でみられる工夫をし、20代の若い世代や、夏休み中の孫のために購入する高齢者も多いということです。
きっかけは、開発担当者の子どもが学校から持ち帰ったコマでした。
商品を開発した キッシーズ 細江友人さん
「『お父さん一緒に練習しようよ』と、(親子の)いいコミュニケーションができるきっかけになったので」
「アナログのおもちゃには世代を超えた魅力がある」と考え、全国のおもちゃメーカーに声をかけました。すると浮かび上がったのが――
商品を開発した キッシーズ 細江友人さん
「コロナの影響もあって、廃業してしまったメーカーさんや、作れなくなったおもちゃがあって」
実際、箱に入っている「かみせっけん」も、今年いっぱいで廃番になります。「おもちゃメーカーを救いたい」と考えたということです。
◇
北海道旭川市の温泉旅館「高砂温泉」は、コロナ禍で今年1月に経営破綻しました。
事業を受け継いだ新会社が、施設の古さを逆手にとって仕掛けたのが、「昭和レトロ」へのリニューアルです。
卓球台しかなかったスペースに、懐かしの昭和レトロゲームがずらりと並び、「はまっちゃって」と、“大はまり”するご年配の方もいました。
駄菓子コーナーも同時にオープンし、家族3世代が水入らずで過ごせる施設に生まれ変わりました。
特にこだわったのが、昔懐かしい当たり付きのアイスの自販機です。
高砂温泉 早川昌実支配人
「アイスクリームの自動販売機です。お風呂から出てきたら、ちょうどいい場所ですし」
アイス自体も、レトロ感が感じられるものを仕入れているということです。
高砂温泉 早川昌実支配人
「週末になると、僕たちも見たことがないほど、大勢の方が集まっていただきます。私たちもうれしい次第です」
“昭和レトロ”に再起をかけた温泉旅館。コロナ禍で失った活気を今、再び取り戻し始めています。