盛り土「産業廃棄物を捨てた」元社員が証言
静岡・熱海市で発生した土石流。崩落した現場の盛り土をしていた不動産管理会社の元社員が取材に応じ、「建物を解体した産業廃棄物をあそこに捨てていた」と証言しました。
■土石流発生から1週間…いまだ20人の安否わからず
時折、捜索活動をはばむ大粒の雨。胸のあたりまで泥だらけになっていた救助隊員も。
熱海市での大規模な土石流発生から1週間。新たにトオヤマユウジさんの死亡が発表されました。懸命な捜索活動が続くも、いまだ20人の安否がわかっていません。
また、これまでに死亡が確認された9人のうち、田中路子さん(70)の身元が判明しました。路子さんを知る人は……
松本早人さん「自分が子供の時から塾やったり文房具屋やったりしてたもんで、自分もそこに何度もお邪魔したり。つい最近も家の前通ったりするときも『元気?』『気をつけて出かけてきてね』そんな会話もしてたんで。本当に生きていてもらいたかったんですけどね」
連日、路子さんを捜すため現場を訪れていた夫の田中公一さん。地元の消防団によると、妻の死を確認したあと公一さんは、「お世話さんでした。これからも救助活動頑張って」と言葉をかけてくれたといいます。
■盛り土に“産業廃棄物を捨てた”元社員が証言
甚大な被害をもたらした土石流。
静岡県・難波副知事「天災・天候要因に人の行為の適切でないことが加わって、大災害を起こしてしまったと」
土石流のほとんどが、人工的に積まれた盛り土だったことがわかっています。
その盛り土をした不動産管理会社で当時社員だった男性が、日本テレビの取材の応じ、盛り土がつくられた経緯について語りました。
元社員「(周辺一帯を)宅地分譲しようというのが当初の計画だった。許可通りにひな壇にして、それを分割して売ると。ひな壇にするには一か所は削らないといけないと。削った土を、当初は谷に捨てていた。(そこが)今回崩落した場所」
崩落した盛り土に土砂が搬入されてから1年半後の2010年に撮影された映像では、分譲地にするためでしょうか、盛り土が6段ほどの階段状になっているように見えます。
元社員は、この盛り土の中に解体工事で出た産業廃棄物が含まれていたと話します。
元社員「プラスチックの破片とか木くず、タイヤ、うわさによるとトラックも埋めてあると。そういうものが露出していました。これはひどいなと、それは思いましたよ。これが下まで崩れたら大変な問題だと感じました」
自身も責任を感じているという元社員。
元社員「今回犠牲になった方に(会社の代表が)素直に出てきて謝罪することが一番大事なことじゃないですか」
■過去にもたびたび“トラブル”
この業者をめぐっては、過去、たびたび“トラブル”がありました。
盛り土をした不動産管理会社は、過去、熱海市内の他の場所でも開発工事を行っていましたが、2012年、その土地で土砂崩れが発生。周辺住民は、崩落の前から身の危険を感じていたといいます。
熱海市『宝泉寺』住職「これよりも2年くらい前(2010年)から大雨が降るたびに土砂は流れてきてたので、(大雨のたびに)気をつけてました。同じ熱海の中で今回それ以上の大きな災害になった。本当に憤りを感じます」
■「定時に食事とれない時も」消防や自衛隊員らに支援も
時には大雨、時には蒸し暑さの中で続けられる捜索。それを支援する動きもあります。消防や自衛隊員らにむけ、食料が届いていました。
自衛隊員「ありがたい限りです。正直、隊員たちも一生懸命頑張っておりますし、時には定時に食事がとれない時もあります。がんばります」
10日(土)も午後から再び雨となる予報の熱海市で、午前6時から捜索が再開されます。
7月9日『news zero』より。