「搬送困難」急増 自宅療養者1万人超も
コロナに感染し、入院が必要でもすぐにできないケースが急増しています。自宅療養者の容体の急変にどう対応するのか。カギを握るのが、医師の判断のもと、自宅で酸素吸入が行える「酸素濃縮装置」です。
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状況が一変していたのは、都内の自宅療養患者。
自宅療養患者(20代)「ここらへん動いただけで息切れして」
1週間ほど前に職場で感染したとみられる20代の男性。
医師「結構せきも出ていて、お熱も高い状態が続いているので、可能であれば入院が望ましいかなと思う」
ただ、入院が必要でもすぐにできないケースが急増しています。31日の深夜。医師は、保健所からの依頼で家族全員がコロナに感染し自宅療養している女性のもとへ。診察の結果は、39度近い発熱に肺炎の疑い。
ファストドクター・上柳圭一医師「救急です。肺炎疑うので入院が必要な状況で」
すぐに救急隊を呼びましたが。
保健所と電話する救急隊員「そちらも手いっぱいで(電話)かける余裕ないですよね。保健所さんで連絡する救急病院言ってもらえれば、それ以外の病院お探ししますので」
搬送先の病院が見つからず、保健所と手分けして手当たり次第、病院に電話をかけることに。
現場でのやりとり「普段だったら100%搬送の人が(今は)全然いけない?」
救急隊「そうなんです。ここ2、3日異常です」
現場でのやりとり「ここ1週間で急になりましたよね」
女性が搬送されたのは、深夜2時。救急隊の到着から1時間後でした。30分以上搬送先が決まらない「救急搬送困難事案」は、全国で急増。
特に、コロナ疑いの患者の搬送先が決まらないケースは、7月19日からの1週間で698件と、前の週のおよそ1.7倍となっています。
また、都内の自宅療養者数は、これまでで最も多かった第3波を大きく上まわる1万2000人以上に。この1か月で10倍以上に増えているのです。
こうした中、2日、政府が示した新たな方針。患者が急増している地域では、今後入院は、重症者と重症化リスクの高い人を原則とし、それ以外は、自宅療養を基本とするということです。
では、自宅療養者の容体の急変にどう対応するのか。カギを握るのが、この装置。医師の判断のもと、自宅で酸素吸入が行える「酸素濃縮装置」です。
夜間や休日に救急往診を行う「ファストドクター」には、先週、都から30台が貸与され、さっそく自宅療養患者のもとにも運び込まれました。
ファストドクター代表・菊池亮医師「(自宅療養者からの救急相談件数)6月と7月の比較で件数自体10倍くらいに増えている。患者数が減る兆候がないので、今後どうなっていくのか非常に不安。こうしたフェーズにおいては、(酸素濃縮装置は)患者さんの安全を守るために必要な機械かなと」
(8月2日放送『news zero』より)