“自宅療養中”の妊婦、搬送先見つからず…
デルタ株による感染の急拡大が止まりません。東京では19日、過去2番目となる5534人の感染が確認されましたが、全国の1日の感染者数も過去最多を更新しています。千葉県では自宅療養中だった妊婦が入院先が見つからないまま自宅で出産し、赤ちゃんが死亡していたことがわかりました。
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デルタ株が猛威をふるう中、人流をどう抑えるのか。
18日の夕方、都内の百貨店の地下食料品売り場では…
客
「(買ったのは)おかず関係と下はケーキですね。知り合いが誕生日で、こういう時期なので何もできないので、少人数でお祝いを」
“デパ地下”には入場制限が求められていますが…
客
「ひとりひとりの気持ちじゃ、もう、たぶん無理なので、よほど重たい罰則みたいなのがない限り(人流は)減らないんじゃないか」
人流を抑えるのは簡単ではないという声も聞かれました。
百貨店側も新たな対策を打ち出しています。
記者
「入り口入ってすぐのところに館内にいるお客さんの数を表示させています」
客の数が一目でわかるモニターを設置。
大丸東京店・営業推進部 古澤幸紀さん
「(コロナ禍前の2019年の)半分程度の人流に抑制するということを一つ考えに置く。入場規制を行わないといけないような客数に達した時に速やかに動けるようにという狙いがあります」
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“人流を減らすため”の取り組みは都内のスーパーでも行われています。
東京・練馬区のスーパー、アキダイ関町本店、店員がスマホを確認しながら商品を集めると、そのまま店の外へと出て、プレハブにいる別の店員に商品を渡しました。
実はこれ、ネットで事前に注文した商品を店に入らずに受け取れるサービスです。
サービス初利用の客
「人と密接する店舗の中に入るのはためらう。すごく安心感がある」
今月に入り、利用客は10倍ほどに増えているということです。
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各所で独自の対策が進む一方、医療体制のひっ迫は深刻さを増し、東京の自宅療養者は2万2000人を超えました。(18日時点 2万2226人)
40代の息子から60代の両親に感染させるなど、家族全員が自宅療養するケースもおきています。
東京消防庁によりますと、8月2日から8日までの陽性患者から入った119番通報は3週間前と比べ、およそ7倍に急増。
また、通報を受けてから病院に到着するまでに5時間以上かかったケースは0件から52件に増加したということです。
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一方、19日、千葉県などは、新型コロナに感染し自宅療養中の妊婦が入院先の病院が見つからないまま自宅で出産し、その後、赤ちゃんが死亡していたことを明らかにしました。
妊婦は30代で、せきの症状が悪化したため、8月15日から県と柏市の保健所が入院先を探しましたが見つからず、17日には、おなかの張りや出血などがあったため、女性のかかりつけ医なども入院先を探しましたが、それでも見つからなかったということです。
柏市の保健所は…
保健所の会見(19日午後)
「妊婦さんに限らず、非常に入院が難しくなっています。保健所としても最大限がんばって調整しておりますが、なかなか決まらないところがある」
県に対し、「さらなる病床の確保などを訴えていきたい」と述べました。
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過去最多の感染者が確認された栃木県。(19日の新規感染者 273人)
宇都宮市内にある呼吸器内科では、16あるコロナ病床は常に満床の状態です。その上…
インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁院長
「ホテル療養でみている方(患者)が呼吸が苦しくなってきたということで搬送されているような事案が増えている」
“頼みの綱”はやはり…
インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁院長
「これだけだと“酸素”が足りなくなることが想定されるので、新たに設備の増強を行って」
医療用の液化酸素を新たに導入するなど、患者の命をつなぐため、酸素の供給体制を見直しました。さらに…
インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁院長
「酸素を吸えて点滴ができるような仮設のテント10人分ほど設置する予定」
自宅療養を続ける患者などの容体が急変した際、酸素を投与しながら治療ができる自前の“酸素ステーション”を開設する予定だといいます。
しかし、このまま感染爆発が続けば…
インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁院長
「水道・ガス・電気が当たり前に使えるのと同じような医療が受けられない、当たり前のように受けられなくなる状況が目の前に迫っていると」
すぐ目の前に迫る危機を自分のこととして考えてほしいと強く訴えます。