インフルエンザワクチン接種時期は?
日本感染症学会は、今冬のインフルエンザは「大きな流行を起こす可能性もある」と予測。ワクチンの積極的な接種を推奨しています。いつ打てばよい?専門医に聞きました。
日本感染症学会は、2021年~22年シーズンにおけるインフルエンザワクチンの接種に関する考え方をまとめ、「ワクチンの積極的な接種を推奨」しています。
■今季のインフルエンザ「大きな流行を起こす可能性も」
学会は、今季のインフルエンザについて「大きな流行を起こす可能性もあります」としています。WHOの報告では、アジアの亜熱帯地域、バングラデシュとインドで2021年夏にインフルエンザの流行が確認されています。
日本では前シーズンのインフルエンザの患者数が極めて少なく、集団免疫が形成されていないと考えられ、こうした地域で小さな流行が繰り返されることで、ウイルスが保存され、国境を越えて人の移動が再開されれば、ウイルスが拡散される懸念があり、海外から持ち込まれれば、「大きな流行を起こす可能性もあります」としているのです。
■インフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨
現在国内で使われているインフルエンザワクチンは、絶対にかからないというものではないものの、発病を予防することや、重症化や死亡を予防することに一定の効果があるとされています。
学会は、今季も「ワクチンの積極的な接種を推奨」。
日本と同様、昨シーズンに流行が見られなかったイギリスでは、今季は早期に流行が始まり、例年の1.5倍の流行になる可能性があるとして、ワクチンの接種を呼びかけているということです。
■医療現場の負担軽減のためにも接種をと呼びかけ
学会は、ワクチンの積極的な推奨理由の1つに、昨年から続く新型コロナウイルスへの対応で疲弊した医療現場の負担もあげています。
発熱など症状が似ているため、新型コロナなのか、インフルエンザなのか、同時流行が危惧される冬は、両方の検査をする必要がありました。
新型コロナの患者は秋以降も多く発生することが予想され、ワクチンで予防できるインフルエンザについては、可及的にワクチンを接種することで、受診を抑制して、医療現場の負担を軽減することも重要だとしています。
■新型コロナワクチンを優先?インフルエンザワクチンの接種時期は?
インフルエンザワクチンは、流行のシーズンなどを考えると理想的なのは、10月末までに接種することが海外では推奨されています。
日本では、新型コロナワクチンとそのほかのワクチンを接種する際は、互いに片方のワクチンを受けてから、2週間後に接種することになっています。
では、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンはどちらを優先すればよいのか?
学会では、新型コロナワクチンをこれから接種する人には、新型コロナワクチンを優先せざるを得ないと思われるとし、同時にインフルエンザワクチンの接種についても検討してほしいとしています。
■コロナワクチンを優先、インフルエンザワクチンは速やかに
日本感染症学会のインフルエンザワクチン接種に関する考え方をまとめた、倉敷中央病院・石田直副院長に聞きました。
──これから新型コロナとインフルエンザワクチンを接種する場合、タイミングをどうすればよいか。
新型コロナワクチンの1回目と2回目の間にインフルエンザワクチンを受けるのはなかなか難しいでしょう。ですから、今の状況であれば、新型コロナワクチンをできる限り早く受ける。その後になるべく早くインフルエンザのワクチンを受けるのがよいです。
高齢者の大半は新型コロナワクチンをすでに接種していますよね。高齢者はインフルエンザも重症化するリスクが高いので、とにかく早くインフルエンザワクチンをうけてほしい。
──こどももインフルエンザはハイリスクですよね。
インフルエンザワクチンはこどもも生後6か月以上から受けられます。12歳以下はインフルエンザワクチンは2回接種です。なるべく早く受けた方が良いでしょう。
流行がいつになるかは読めないので、わからないのですが、ワクチンを受けるのは早いうちに受けてほしい。
──新型コロナワクチンとほかのワクチン、お互い2週間後はなぜ?
米国では、2つのワクチンを同時に接種したり、インフルエンザと新型コロナの混合ワクチンの開発も進んでいます。
日本では、インフルエンザのような不活化ワクチンは2週間空けることになっています。副反応が起きた時にどちらのワクチンで出てきているかわからなくなってしまうのも理由の1つです。
インフルエンザウイルス画像提供:国立感染症研究所