浸水域さらに広がる可能性―地球温暖化の進行にあわせた「将来の洪水ハザードマップ」開発・公開 東京大学などの研究グループ
近年、地球温暖化の影響によるものと考えられる豪雨が世界各地で相次いで発生し、河川の洪水や土砂災害によって住宅や農地などでは大きな被害が出ています。今後、地球温暖化の進行に伴って豪雨が増加し、台風は強さを増すことで、洪水発生の頻度や規模、浸水する深さも変化していくことが想定されます。
そこで、東京大学生産技術研究所の山崎大(やまざき・だい)准教授などの研究グループは、「将来の広域洪水ハザードマップ」を開発し、今月19日に一般公開しました。
この「将来の広域洪水ハザードマップ」は、複数の気候モデルによる将来の洪水頻度の変化のデータと、最先端の河川氾濫モデルを組み合わせてつくったもので、温室効果ガスの排出量が多くなり気候変動が進行するシナリオをもとに、2100年までの世界の洪水リスクの変化を推計しました。
「将来の広域洪水ハザードマップ」では、現在の気候状況でつくられたハザードマップに比べて、想定浸水域が拡大し、浸水の深さがより深くなるなど、洪水リスクの高まりがわかるということです。
また、このハザードマップを使って今世紀末に100年に1度の確率で生じる洪水が発生した場合の被災する人口について分析した結果、全世界でおよそ18.6億人に潜在的な洪水リスクの可能性があることが判明したといいます。
山崎准教授は、この先、地球温暖化が進んだ場合の気候状況に合わせた将来のハザードマップを活用して、災害対策に役立ててほしいとしています。
また、研究チームは、今後、ダムや堤防が新たにつくられたことによって洪水リスクが低減した地域の情報をハザードマップに反映するなどして、より精度の高いハザードマップの開発に取り組んでいきたいとしています。