【速報全文】佳子さま ギリシャ訪問の感想寄せられる「ギリシャでの出会いや出来事はどれも大切なもの」
秋篠宮家の二女、佳子さまは、5月25日から8日間の日程でギリシャを公式訪問されました。佳子さまの外国公式訪問は、去年11月のペルー訪問以来、3回目となりました。
日本との外交関係樹立125周年と「文化観光年」を迎えたギリシャで、世界遺産を視察すると共に、文化やスポーツ、福祉など幅広い分野の人々と、積極的に交流を重ねられました。
宮内庁が公表したギリシャ訪問後の佳子さまのご感想を、全文で紹介します。(表記は宮内庁のまま)
【佳子内親王殿下のご印象(ギリシャご訪問を終えて)】
この度、日本とギリシャ共和国の外交関係樹立125周年、また「日本・ギリシャ文化観光年」にあたり、ギリシャ共和国政府よりお招きをいただき、同国を訪問できましたことを誠に嬉しく思っております。訪問にあたり、ギリシャの皆様からあたたかくお迎えいただいたことに深く感謝を申し上げます。
まず、カテリナ・サケラロプル大統領閣下を始めとする方々にお目にかかる機会をいただきましたことは大変ありがたいことでした。大統領閣下には、表敬の機会をいただき、この記念の年が両国において幅広く多くの人々がお互いの国を知る機会になってほしいということなどについて親しくお話をさせていただきました。大統領閣下の社会や人々への思いを感じるとともに、私自身が国内外での活動に込めてきた思いもお話し、心に残る時間でした。
キリアコス・ミツォタキス首相、マレヴァ・グラボウスキ・ミツォタキス令夫人にもお目にかかりました。お二方とは両国の関係や私の両親が昨年お会いしたことなどについて、また令夫人とは両国の伝統工芸などについて、なごやかな雰囲気の中でお話をさせていただきました。
リナ・メンドーニ文化大臣は、「日本ギリシャ外交関係樹立125周年及び日本・ギリシャ文化観光年記念式典」と昼食会を催してくださり、「アクロポリス博物館」の常設展示をご案内くださいました。また、オルガ・ケファロヤニ観光大臣は、昼食会を催してくださり、「アクロポリス博物館」の企画展示とケルキラ島の旧市街をご案内くださり、式典と記念行事にも同席してくださいました。両大臣とも度々ご一緒くださり、ギリシャの文化や観光などについて、多くのお話をしてくださいました。
お迎えくださった皆様に心から御礼を申し上げます。
次に、本年を記念した式典と行事について記したいと思います。
主要行事として開催された前述の「日本ギリシャ外交関係樹立125周年及び日本・ギリシャ文化観光年記念式典」では、関係の皆様とご一緒に125周年と文化観光年をお祝いしました。ドデカニサ諸島の民謡の合唱などを聞きながら、両国の友好親善関係がさらに深まっていくことを願いました。
また、日本の貴重な美術品を数多く所蔵し、日本で展覧会を開いたこともある「ケルキラ・アジア美術館」にて、「日本ギリシャ外交関係樹立125周年及び日本・ギリシャ文化観光年記念行事」に出席いたしました。記念行事に引き続き、美術館を見学しながら、日本の美術品が遠く離れたギリシャで大切に保管されてきたことを実感しました。能面の展示の横で能楽の映像を見たり、兜の展示を見て折り紙の兜を作ったりするなど、来館者が様々な形で日本の文化に触れていることもお聞きし、喜ばしく思いました。
「ケルキラ・アジア美術館」のほかにも、日本にご縁のある場所を訪れ、また両国にゆかりのある方々にお会いしました。
サラミナ島で訪問した「ファネロメニ修道院」は、荘厳さの中にあたたかさを感じるとともに、ここで暮らす方々やこの地を訪れる方々から大切に思われてきたことが伝わってくるところでした。修道院の貴重な壁画の研究・修復には日本の研究者も関わっており、このような両国の繋がりを嬉しく思いました。来訪者に花びらを撒く伝統的な歓迎などもしてくださり、素敵な思い出になりました。
「全ギリシャ体育協会柔道クラブ」では、子どもから大人までの年齢層の方々が、柔道の稽古に励んでおられる様子を見学しました。皆様がそれぞれに、得意な技や今後の目標などについて生き生きと話してくださったことが思い出されます。
日本政府から叙勲等を受けられたギリシャの方々、ギリシャから日本に留学された方々、ギリシャで暮らす日本の方々にもお会いし、ご自身の経験や思いなどについてお話をお聞きしました。両国の友好へのご貢献や、両国間の多岐にわたるつながりを、心強く思いました。
ギリシャの歴史や文化に触れるとともに、関係する方々からお話を伺えたことも貴重な経験となりました。
「アクロポリス」を見学し、多岐にわたる説明を伺いました。世界史の教科書で見た「パルテノン神殿」の壮大な姿を見上げた際には、約2500年も前の高度な技術に感心するとともに、現在に至るまでの保存修復の多大な努力を感じました。「アクロポリス博物館」では、なめらかな曲線や細部にわたる表現など、彫刻の持つ美しさを間近で鑑賞することができました。また、彫刻に残る顔料も興味深いものでした。その後、同博物館の企画展である写真の展示を見せていただき、船を漕ぐ人や学校で学ぶ子どもたちなどの写真から、撮影当時のギリシャの暮らしを感じました。
1896年に第1回近代オリンピックが開催された場所である「パナシナイコ・スタジアム」も見学しました。大理石で作られたスタジアムの特徴や管理、像の由来などについての説明を興味深く伺いました。
世界遺産となっているケルキラ島の旧市街では、市庁舎を訪れ、この島の経てきた歴史について伺いながら、多彩な文化が織り交ざった色とりどりの建物が並ぶ街を歩きました。旧市街で聞こえた楽団の演奏や、島全体に咲いていた色鮮やかな花々、車窓から見えた青緑色のイオニア海とそこに浮かぶ船も印象的でした。
ギリシャのろう者施設や孤児院を訪問し交流できたことも、大切なひとときになりました。
「国立ギリシャろう者施設」では、オンライン手話通訳サービス、きこえない/きこえにくい子どもとその家族に対する早期介入サービス、カウンセリング、手話教室を見学し、また、関係者が特に改善を望んでいることなどについても熱意のあるお話を伺いました。施設の方々が利用者に寄り添いながら、努力を続けていらっしゃることを強く感じました。
ケルキラ島の孤児院では、子どもたちと職員の方々にお会いし、一緒に時間を過ごせたことを嬉しく思いました。子どもたちのことを思い出しながら、1人ひとりが元気で幸せに過ごせることを、心から願っています。
滞在中に、多くの方々が大変あたたかく、優しく迎えてくださったことを、心から嬉しく、またありがたく思っております。訪問先のアテネ、サラミナ島、ケルキラ島において、それぞれの歴史や文化の一端に触れることができたことも、私にとってとても貴重なことでした。強い日差し、穏やかな海、果実がなる街路樹など数々の情景も、お会いした方々のことと共に思い出されます。この文書にすべてを記すことは叶いませんが、ギリシャでの出会いや出来事はどれも大切なものであり、これからも強く心に残り続け、度々に思い返すことと思います。
この度の訪問には多くの方々が、それぞれの形で力を尽くし、心を寄せてくださいました。関係してくださった皆様に、改めまして心から感謝を申し上げます。
そして、本年の「外交関係樹立125周年」と「日本・ギリシャ文化観光年」がひとつの契機となり、より幅広く、様々な形で、両国の友好親善関係がさらに深まることを心から願っております。