旅行支援で宿泊施設“疲弊”…「人手不足」「苦情増えた」で離職者も
21日、東京・浅草は、平日にもかかわらず、多くの人でにぎわっていました。全国旅行支援が東京で適用されて1か月、全国から来た観光客で活気が戻っていたのです。
浅草東武ホテル 小賀与敬・総支配人
「10月と比べますとだいたい20%くらい上昇」
雷門からほど近いホテルでは今月、先月と比べ宿泊客が20パーセントほど増加。水際対策が緩和された影響もあるといいますが、やはり“起爆剤”となったのは、全国旅行支援です。
浅草東武ホテル 小賀総支配人
「国内のお客様のだいたい半数以上は、全国旅行支援をご利用いただいています」
このホテルでは、通常は接客に携わらないスタッフも接客業務を行うなどして、急増した宿泊客に対応しているということです。
全国旅行支援を実際に使った人はどう感じているのでしょうかーーー。
大阪から来た観光客
「ディズニーに行きました」
「1万2000円分(クーポンもらった)」
「サングラスをクーポンで購入しました。(クーポンが)なかったら買ってない」
広島から来た観光客
「(クーポン)使い切りました。さっき天丼食べたんですけど」
お得に楽しんだ人がいる一方で、別の利用者からは「手続きがちょっと複雑」という声も聞こえました。
「(当日に)身分証明書とかも全部出さなきゃいけないので、その辺を事前にできればもっと楽なのかなと」
「せっかく事前に予約するので、その辺が一気に終わればいいなと思いました」
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松島など、風光明媚な観光地が多くある宮城県では先月、県内に宿泊した人の人数が、コロナ前の2019年を超えたといい、今年度1番の賑わいを見せました。
(※2022年10月の宮城県内の宿泊人数:2019年10月の101.6%……宮城県ホテル旅館組合による)
しかし、うれしいはずの宿泊施設から“疲弊している”との声もあがっています。
全国旅行支援の課題について、宮城県ホテル旅館組合が実施したアンケートには、ホテルや旅館の“苦しい現状”を表した、切実な声が寄せられていました。
●宮城県ホテル旅館組合のアンケートへの回答
「マンパワー不足のところにさらにマンパワー不足」
「人員不足により100%稼働ができない」
中には、「問い合わせ、苦情、文句など…。多い日は1日50~100件」などと、電話対応などで業務が圧迫されていると訴える回答や、「人手不足。繁忙による離職」と、従業員が忙しさに耐えきれず、退職したという回答もありました。
宮城県ホテル旅館組合によりますと、全国旅行支援が始まったことで、本来はオフシーズンとなる10月以降に観光客を呼べるメリットがある一方で、デメリットとして、忙しさを理由にした退職が起きており、「初めての事態」だといいます。
観光地を盛り上げるため始まった全国旅行支援。受け入れる側が無理なく参加できる仕組みが求められます。