【解説】日本の島「倍増」領海への影響は 中国人「沖縄の無人島購入」過激な意見も
日本には数多くの島がありますが、調査の結果、その数が倍増する見通しだということがわかりました。こうした中、中国人女性が「日本の無人島を買った」とSNSに投稿しましたが、都内の中国系とみられる企業が購入したことが明らかになりました。
●35年ぶり数え直し
●領土・領海どうなる?
●中国人が無人島購入?
以上、3つのポイントについて解説します。
■日本の島、35年ぶり数え直し
「島国・日本」に島がどのぐらいあるか、ご存じですか。政府が日本全国の島を35年ぶりに数え直した結果、総数がこれまで公表されてきた6852から、1万4125と、倍増する見通しだということが13日、関係者への取材で明らかになりました。政府は3月にも公表する方針ですが、国土地理院が最終的な調整を進めている段階です。
なぜこんなに増えたのか。国土地理院によると、今回はそもそも調査の方法が違うとしています。現在の島の数は海上保安庁が35年前の1987年に公表したものです。縮尺2万5000分の1の海図を基準にして、手作業で外周100メートル以上の島を数えてリストアップするという涙ぐましい努力があったということです。
今回、国土地理院は地図の電子化に伴い、現在の基本図をコンピューターで自動計測しました。その結果、「調査精度が大幅に向上し、島の数も正確に把握できた」としています。また埋め立て地などを除外するため、過去の航空写真などと照合した結果、条件に合致する島は小さいものを含めて10万以上見つかり、外周100メートル以上の島を選び出しました。まだ最終調整中のため、1万4125という数も変わる可能性があります。
島の数が増えたとしても、日本の領土・領海の広さは変わらない見込みです。今回の調査は、2022年の「電子国土基本図」が基になっているため、領土の広さに変更はないとみられています。
■西之島で噴火確認 日本の領海に影響は?
また領海を含む「排他的経済水域」(EEZ)については、内閣府が2017年から実施している調査結果が2日、公表されました。以前から変更はなく、新たに広がっているという事実はありませんでした。
ただ過去には島が増えて、領海が増えたことがあります。2013年11月、東京・小笠原諸島の西之島付近で噴火があり、小さな島ができました。新しい島はどんどん拡大していき、1か月後には西之島とつながりました。
その後も西之島として拡大が続いたことを受けて、海上保安庁は2019年、海図を改訂しました。日本の排他的経済水域が広がり、領海とあわせた面積が約50平方キロメートル(東京ドーム1000個分)拡大し、国際的にも認められることになりました。
西之島は、今年1月にも噴火が確認されています。「島の大きさも拡大が続いている」ということもあるため、広がり方によっては、今後も日本の領海・排他的経済水域が拡大する可能性もあります。
■沖縄の無人島が競売に…「中国人女性が購入」
日本の島を巡り、「中国人女性が日本の無人島を購入したのではないか」ということが話題になりました。この女性は今月、自然豊かな沖縄・伊是名村(いぜなそん)にある無人島・屋那覇島(やなはじま)の動画をSNSに投稿しました。
中国メディアによると、動画を投稿した女性は中国・山東省出身の34歳だということです。動画の中で、女性は「3年前に購入した小さい島です」と説明しています。
伊是名村によると、屋那覇島の4分の1は村が所有し、残りは国有地と民有地です。民有地のうち、島の半分ほどにあたる土地が競売にかけられました。購入したのは動画を投稿した女性個人ではなく、東京・港区にある中国系とみられる会社だったといいます。動画を投稿した女性と会社の関係は、明らかになっていません。
中国人女性は「美しい景色を共有するために、動画を投稿した」ということです。その意思に反して、中国のSNSには「中国の領土にできますね」、「中国軍が行くには便利な場所ですか」などと過激な意見も投稿されていました。
こうした状況を受けて、松野官房長官は、13日の会見で「法律には違反していないものの、動向を注視していく」と述べました。
海に囲まれ島国に暮らす私たちですが、今回の調査で日本には本当に多くの島が存在していることが明らかになりました。こうしたデータによって、改めて自分の国について知る・考えるきっかけにしていきたいものです。
(2023年2月14日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)