男の子向け「性教育本」、スウェーデン“ふたりパパ”の男性が翻訳……「マイノリティーに目を向け、全ての人が生きやすい社会に」
世界で初めて性教育を取り入れたとされるスウェーデンでは、児童書コーナーで性教育本が販売されるなど、自然に性を教える環境が整っています。10代の男の子向け性教育本を翻訳した男性は同性婚で、息子を育てています。男性側が変わる意義を聞きました。
スウェーデン北部の都市、ルレオに住む中村光雄さん(42)。パートナーのリカルドさん(47)と「ふたりパパ」で6歳の息子を育てています。
3人で食事の準備をしている時。息子が「僕白菜やりたい!」と手伝いを買って出ると、中村さんが「じゃあ白菜やって」と任せていました。
スウェーデンでは同性婚も法律で認められていて、2人は結婚12年目です。息子は代理母出産で授かりました。
中村さんの普段の仕事はユーチューバー。息子との日常や、スウェーデンの暮らしなどを紹介しています。
中村さんが最近手がけたのが、スウェーデン作家の性教育に関する本の翻訳です。『RESPECT 男の子が知っておきたいセックスのすべて』。体や生理のこと、性欲や同性とのセックスまで幅広く取り上げていて、10代の男の子に向けて書かれています。
中村さん
「女性だけでは社会は変わっていかないと思います。男性側が変わっていかないと、社会全体が変わっていかないと思います」
世界で初めて性教育を取り入れたといわれるスウェーデン。書店の児童書のコーナーには『男の子のあなたに送る本』『最悪で最高の青春』といった性教育の本が並びます。
スーパーマーケットには、子ども用のおもちゃや文房具が置かれている目の前に、女性用の生理用品が並んでいます。実物を手に取れるようにし、子どもに生理のことを自然に教えることができる環境になっています。
性教育に詳しいスウェーデンの学校教員、サリネンれい子さんは、「スウェーデンの性教育は、もう1歳の時から、生まれた時から始まっていると言っていいと思います」と言います。
「もちろん体や心のことを小さい頃から教えながら、その続きとして教えていくのが、権利です。自分の体のことを決める権利。嫌だと思ったら『ストップ』って言いなさいと、まず教えます」
また、若い人が性や体の悩みなどを相談できる「ユースクリニック」もあります。医師やカウンセラー、助産師などが常駐し、性や友達、家族関係などの悩みを幅広く相談することができます。
性教育本を訳した中村さんは「相手に対するリスペクトが大切だ」と話します。
「(ゲイである)僕自身も他の側面で言ったら、女性に対しては特権を持つ『男性性』を持ち合わせていますし、いつマイノリティーになるかマジョリティーになるかというのは、みんなが持ち合わせているものだと思います」
「だからこそ、マイノリティーに目を向けてそれを知っていくこと自体が、誰か特別な人がではなくて、全ての人が生きやすい社会になると思います」
池田エライザさん(女優・『news zero』金曜パートナー)
「日本だと、前提として性教育をする大人たちに知識がまだまだ足りていないなというか、私もまだ勉強中だなと思いますし、これからこれをどう伝えていくかというのを、大人たちがまず学んでいかなきゃいけないなと感じました」
岩本乃蒼アナウンサー
「私たちも学校で学んだり、性教育というとみんなで学ぶというイメージがありましたが、それぞれの家庭で学ぶということも大切ですよね」
エライザさん
「すごく大切だと思います。思えば、家族が言っていたアドバイスや助言、教えてくれたことは、忘れにくいなと思いますし、すごく説得力を感じます」
「私の家でも、兄であったりお母さんであったり、『女の子はこういう所に行くと危ないからね』と教えてくれていて、今もそれが残っているので、今後またそれを、大人が伝えやすい環境をつくってあげたらいいのかな、つくっていきたいなと私も思いました」
岩本アナウンサー
「私も小さい時にエライザさんの家庭のようなコミュニティーがあったら良かったなと思いますし、自分も次の世代にそういうふうにしていきたいなと感じます」
(3月17日『news zero』より)