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HPVワクチン、接種進まぬ背景…「キャッチアップ接種」とは 子宮けいがん 毎年“3000人”死亡 厚労省“今年の夏がカギ”

2024年5月22日 17:45
HPVワクチン、接種進まぬ背景…「キャッチアップ接種」とは 子宮けいがん 毎年“3000人”死亡 厚労省“今年の夏がカギ”

毎年、約3000人の女性が死亡する子宮けいがん。予防にはワクチンと検診が有効とされていますが、日本でのワクチン接種率は非常に低いままです。背景に何があるのでしょうか─。

都内に住む23歳の女性。

女性(23)
「よくわからないワクチンかなって。結構不明なことだらけなので。私はちゃんと知らないワクチンをあんまりうけようとは思わなかった」

子宮けいがんを防ぐためのHPVワクチン接種について、戸惑いがあるといいます。一部の年齢の女性が無料で打てる「キャッチアップ接種」の連絡も届いていましたが…

女性(23)
「特にじっくり目を通すことはしなかった」

子宮けいがんの原因となるヒトパピローマウイルスのうち、8割から9割を防ぐとされるHPVワクチン。接種は3回で約9万円かかります。

性的な活動が始まる前に打つことで効果があるため、小学6年生から高校1年生相当の女性の接種は無料です。

HPVワクチンをめぐっては、接種後に全身の痛みなどを訴える例があり、政府は約9年間、接種の積極的な呼びかけを控え、2022年4月に再開。その期間に接種しなかった1997年度から2007年度生まれの女性に、無料接種を提供する「キャッチアップ接種」が現在行われています。

期間は来年3月末まで。無料で接種できる期間中に3回打つには、9月頃までに1回目を接種する必要があります。

一方で、22日に厚労省が公表した調査では、「キャッチアップ接種」を「知らない」人が対象者の48.5%。また、このワクチンを「安全だと思う」は約30%。「どちらともいえない」は50%以上にのぼりました。

過去に、“副反応”ではないかとされた症状について、医師は…

産婦人科医・稲葉可奈子医師
「接種する、しない関係なく、そういった思いもかけないような症状が突然出ることがある。HPVワクチン打った方と打ってない方とで、(症状の)発生頻度に差がないことが、日本の研究でも他の国の研究でも同じ結果になっている」

WHO(世界保健機関)もHPVワクチン接種後の症状は軽微だと判断し、接種を推奨しています。

2008年から12歳、13歳の女性に接種を始め、接種率80%を超えるイギリスでは、20代後半の女性の子宮けいがんやその前段階の病変が激減。イギリスは2040年の子宮けいがん撲滅を目標としています。

HPVワクチンのキャッチアップ接種が進むかどうか、厚生労働省は、この夏がカギになるとしています。

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