「早めのワクチン接種を」子宮けいがん予防を呼びかけ “国際HPV啓発デー”
日本で毎年3000人が亡くなる子宮けいがん。3月4日は、その原因となるウイルスへの感染予防を呼びかける「国際HPV啓発デー」です。
国立成育医療研究センターには、子宮けいがんについて、医師自らが作ったクイズで説明するコーナーが設けられました。
日本では毎年およそ1万人の女性が子宮けいがんを発症し、およそ3000人が亡くなっています。定期検診も大切ですが、子宮けいがんの主な原因であるHPV(=ヒトパピローマウイルス)は、性行為で感染するため、交際が活発になる前の小学6年生から高校1年生までの女性はこのウイルスへの感染を防ぐワクチンを無料で接種できます。
国立成育医療研究センター・幾瀬樹医師
「ワクチンを打っている人の方が打っていない人に比べて、子宮けいがんが大体8割以上少なかった。ワクチンが普及した結果によって子宮けいがんが実際減ったという報告もある」
誕生日が1997年4月2日から2007年4月1日までの女性が無料でワクチン接種できる「キャッチアップ接種」という特例制度もありますが、2025年3月末で終わるため、医師は早めの接種を呼びかけています。
HPVワクチンは、一定の間隔をあけて3回接種が必要ですが、シルガード9という最新の種類のワクチンについては、15歳未満で1回目を打つ場合は2回の接種ですみます。(15歳未満を対象にした研究で効果がわかったため)
このワクチンの接種対象に男性を加える国もあり、日本でもいくつかの自治体が男性にも接種費用の助成を行っています。男性が接種し、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しなくなれば、性交渉の際に、このウイルスを相手にうつすのを防げるほか、このウイルスは中咽頭がん(のどのがん)や陰茎がん、陰部のいぼの原因にもなることから、男性自らを守ることにもつながるということです。
HPVワクチンをめぐっては、接種後に体の痛みやまひなど不調を訴える女性たちが訴訟を起こしました。こうした不調について、接種した人と接種していない人で比べた研究の結果、接種していない人でも同じぐらいの割合でこうした症状が出ることがわかり、ワクチンの安全性がわかってきたということです。
HPVワクチンは、接種することで抗体をつくってウイルスへの感染を防ぐのが目的であり、感染した後にそれを治療するものではありません。そのため、性交渉する前の年齢の女性が無料接種の対象です。
このウイルスはごくありふれたもので、性交渉の経験がある女性は、すでに感染している可能性もありますが、感染した全員が子宮けいがんになるわけではなく、長い時間をかけて徐々に子宮けいがんになる場合があります。20歳以上の女性は定期検診が大切で、「子宮けい部」にがんの前段階の状態が見られる場合、医師の判断により、その部分を取り除く手術が必要になる場合もあり、さらに症状が進みがんになると、子宮の摘出や死亡につながる可能性もあります。