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「任期1年」の非正規地方公務員が約66万人…教員・講師も3万人以上で平均時給は1700円以下の実態

2025年1月14日 14:00
「任期1年」の非正規地方公務員が約66万人…教員・講師も3万人以上で平均時給は1700円以下の実態

任期が1年の非正規地方公務員(会計年度任用職員)が66万人にのぼり、その約4分の3は女性であることが政府の調査でわかりました。専門的な業務に就いていても、1年ごとの任用のため、賃金が低く抑えられ、男女の賃金格差にもつながると指摘されています。また任期1年の非正規公務員の教員・講師は3万2000人にのぼり、平均時給は1697円にとどまる実態も初めて明らかになりました。

政府が、男女の賃金格差の背景などを検討する審議会で14日に公表した調査結果によりますと、去年4月1日時点で、全国の地方公務員のうち、任期が1年の「会計年度任用職員」は66万1368人にのぼり、女性がおよそ76%、男性がおよそ24%だったということです。総務省の統計では、地方公務員は正規・非正規合わせて、およそ350万人とされているので、単純計算で、「会計年度任用職員」が全体の2割近くになります。

職種としては「一般事務職員」が最も多く32.6%、ついで「技能労務職員」(給食調理員を含む技能・労務系)が13.8%、「保育所保育士」が8.5%、教員・講師が4.9%などとなっています。そして、会計年度任用職員の時給を国として初めて調べたところ、「事務補助職員」が平均1118円、「保育所保育士」が平均1269円、「教員・講師(義務教育)」が1697円だったということです。

会計年度任用職員は、地方自治体の事務などのほか、学校の教員や保育士、図書館職員、放課後児童支援員、看護師など専門的な職種でも、次の年度には任用されないことがあり、不安定な立場と言われています。そして、同じ職務に何年も繰り返し任用され、経験を積んで、「臨時」や「補佐役」とは言いがたい重責を担う場合も、正規の公務員のような昇進、昇給の制度がないことが問題視されています。

今回の国の調査でも、再度の任用で給与を決定する際、「職務経験などの要素を考慮していない部門や職種がある」という回答が都道府県のうち6割から寄せられるなど、自治体が人件費削減を強いられる中、会計年度任用職員の給与が低く抑えられがちな実態が明らかになりました。

政府は、こうした非正規公務員に女性が多いことが、同じような業務を担っていても、男女で賃金が異なる実態にもつながるとして、14日の審議会の議題としました。

政府は、地方自治体に対し、会計年度任用職員の給与水準については、似たような職務に従事する常勤職員の月給を基礎としつつ、知識、職務経験等を考慮し、地域の実情などを踏まえ、適切に決定することなどを要請しています。

最終更新日:2025年1月14日 14:27