1.5℃の約束まであと0.4℃ COP27の注目点は…日本は世界の温暖化対策をリードするのか
■1.5℃の約束まで残りはあと0.4℃しかない
地球温暖化が進む今、世界各国は「1.5℃」を努力目標に掲げています。
この「1.5℃」とは、2015年に採択された「パリ協定」で設けられた数値のことです。今世紀末までの世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑える努力をするという目標を指します。ところが、既に1.1℃上昇していて、残りは0.4℃しかありません。
国連気候変動枠組み条約事務局は10月下旬、「各国が温室効果ガスの排出削減目標を達成しても、今世紀末までにおよそ2.5℃上昇する」という報告書を公表しました。現状の取り組みを続けるだけでは、パリ協定が求める努力目標を達成することができず、ほど遠い状況にあります。
■「COP」は何の略称?
その温暖化対策を考えるのがCOPです。正式には「国連気候変動枠組み条約締約国会議」という長い名称ですが、英語にすると「Conference Of the Parties」=「仲間の会議」という意味になります。
現在、198の国と地域が締約して「仲間」となっています。今回のCOP27はきのう11月6日にエジプトで開幕し、約2週間、開催されます。日本でも1997年に京都で3回目の「COP3」が開かれ、先進国の温室効果ガス削減の数値目標などを定めた「京都議定書」が採択されました。
■ポイント(1)「異常気象」で甚大な被害 途上国への支援は?
主なポイントは3つあります。まず1つ目は、異常気象によって甚大な被害に見舞われている途上国への支援策。これがCOP27の主要なテーマとなります。
世界中で気象災害が頻発し、環境が大きく変わっています。
例えば、パキスタンでは今年の夏、大洪水が発生し、国土の3分の1が水没しました。約1740人が亡くなり、人口の7分の1人あたる約3300万人が被災しました。パキスタンの8月の雨量は例年の3.4倍で、1961年以降で最高を記録しています。今も一部地域は1メートル以上、沈んだままとなっています。
ほかにも、ブラジルも豪雨に見舞われ、欧州は熱波に、アフリカは干ばつ、フィジーは海面上昇と、世界中で異常気象による被害が目立っています。