死者も……トラブル増の「美容医療」、国が対策へ “エステでHIFUはダメ” チェックリストで注意を【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「国が“美容医療”対策検討なぜ?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●トラブル相次ぐ…脂肪吸引で死者も
●エステと医療? トラブル回避は
「今、関心が高まる一方でトラブルの相談が相次いでる美容医療をめぐり、適切なあり方を話し合おうと、厚生労働省がこの夏にも検討会を初めて開催することを決めました。美容医療は以前に比べて身近になっていますよね」
桐谷美玲キャスター
「そうですね。友人たちと集まっても、よく話題には上がりますね」
森圭介アナウンサー
「電車の中でもたくさん広告が出てますよね」
鈴江奈々アナウンサー
「美容医療だけじゃなくてエステも含まれるかもしれないですけど、若い人は入学祝いで脱毛を、という話も聞いたことがあります」
森アナウンサー
「そういう時代なんですね」
小野解説委員
「美容医療への関心について、13日に街でも聞いてみました」
会社員(30代)
「(美容医療)興味はありますけど、なかなか手が出せないですよね。美容の方で脱毛で(の契約の時)、『今決めていただいたら通い放題もお安くできます』と言われたことがあります」
別の会社員(30代)
「最近シミができてきたので、どうしようかなという時、美容医療という選択肢はあります」
主婦(40代)
「リフトアップ(医療で)1回やりました」
医療関係(50代)
「今、顔脱毛ちょうどやってるところです。なかなかいいかなと思ってます。以前、医療じゃないところで脱毛やってて、全然効果がなかったことがあったので…」
一緒にいた医療関係(50代)
「やっぱり医療系の方が安心」
森アナウンサー
「アナウンス部の男性でも脱毛をやってる後輩が結構いるんですよ。身近になってるなと感じますよね」
鈴江アナウンサー
「美容医療って女性のためのものと思いきや、大分男性のニーズも高まっているように感じますよね」
桐谷キャスター
「SNSなんかでもよく見かけますし、心理的なハードルがちょっと下がってるのかなとは思いますね」
小野解説委員
「ただ、それとともにトラブルの件数も増えています。国民生活センターによると、美容医療サービスの相談件数(今年5月15日までの登録件数)は2019年度に2036件でしたが、2023年度は6255件と、約3倍になっています」
「もちろん興味を持ってやる人も施設も増えているので、その分被害も報告されているということです」
小野解説委員
「では、どんなトラブルが実際に起きているのか。国民生活センターによると、30代の女性がインターネット広告を見て美肌治療のカウンセリングを予約。当日、病院で話をするうちに、こめかみに糸を入れて顔のリフトアップをする施術を勧められました」
「『顔は少し腫れる程度でマスクをすれば問題ない。モニターになれば約20万円でできます』と説明を受け、その場で契約しました。すぐに医師が来て施術が行われましたが、翌日になっても顔の腫れが引かず、食事もとれなくなってしまったといいます」
「『施術代金を返金してほしい』と電話すると、クリニックからは『血管を損傷したようで、治るのに1か月かかります』『支払いの取り消しも値引きもできません』と言われてしまったということです」
忽滑谷こころアナウンサー
「せっかくきれいになりたいと思って足を運んだのに、真逆の結果になってしまっていますよね」
小野解説委員
「同センターによると他にも、涙袋にヒアルロン酸を注入する施術を受けたところ、片目の周りが腫れてあざとしこりが残ってしまったことがあります」
「消費者庁によると深刻なケースもあります。去年4月、大阪で顔の脂肪吸引を受けた人が翌日に体調不良を訴え、その後自宅で気道閉塞により窒息死したという事例も起きています。こうしたこともあるにはある、ということを知っていただきたいです」
森アナウンサー
「大部分のところはしっかりされているんでしょうけど、まれにこういった事故などがあると『ちょっと怖いな』と思う方も多いでしょうね」
小野解説委員
「もちろん、多くの美容クリニックは安全に気を配って運営しています。ただ、美容医療と一口で言っても非常に幅広いです。レーザー脱毛や脂肪吸引、シミ取り、まぶたの二重術などいろいろありますが、これらはほとんど自由診療です」
「つまり健康保険がきかず、金額はクリニックによって違います。そして今は、トラブルがあった際に金額や診療内容の妥当性を審査する制度はありません。そのため厚労省は夏にも専門家を集め、初の対策検討会を開こうと決めました」
鈴江アナウンサー
「審査がされていない、基準が今ないからこそ、消費者からしても、それが妥当だったのか比べる術がないとも言えるということですね」
桐谷キャスター
「若い人たちにとっては美容医療は当たり前になっている部分もあるのかなと思うので、確かな情報が得られるようにはしてほしいかなと思いますね」
小野解説委員
「エステと医療の違い、お分かりでしょうか? 美容医療という医療行為ができるのは医師だけです。いわゆるエステサロンで、医師以外のエステティシャンが行う行為は『美容医療』とうたうことができません」
「日本美容医療協会の青木律理事長によると、メスやレーザーなど医療機器を使った施術、ケミカルピーリング・投薬・注射・手術などは、医師や医師の指示のもと看護師が行う医療行為です」
小野解説委員
「医療かエステか、その合間で問題になったのが『HIFU(ハイフ)』と呼ばれる施術です」
忽滑谷アナウンサー
「顔がキュッと引き締まる施術だとは知っています」
小野解説委員
「HIFUは英語の略ですが、手術ではなくて超音波をあてることで小顔やリフトアップといった効果が得られるという施術です。消費者庁によると、美容目的のHIFUをめぐってはこれまでにトラブルが起きています」
「例えば顔面のまひで、唇や口角がだらりと伸びきってしまう。しびれにより、下を向くと無意識によだれが垂れてしまう。皮膚が陥没して、あとが残ってしまう色素沈着もあります。急性白内障で目の中心部分がかすんで白くぼやけ、手術を受けたケースもあります」
「全体の数に比べれば非常にまれですが、こうした被害も報告されているということを知っていただきたいです。そこで厚労省は6月7日、『医師以外がHIFUを行えば医師法に違反する』と都道府県に通知しました。エステではHIFUはダメですよ、ということです」
忽滑谷アナウンサー
「7日からルールがより明確になったということですね」
小野解説委員
「これまでもエステでHIFUを受けないよう呼びかけが行われたり、エステ業界の団体も自主的に禁止しましょうとしてきましたが、団体に入っていない未加入のエステなどで被害が報告されていました」
森アナウンサー
「まず、自分でどこを選ぶかというのもポイントですが、自分の身を守るためにはどうしたらいいんですか?」
小野解説委員
「HIFUだけではなく、美容医療を受ける前のチェックリストを消費者庁などが作っています」
「(1)使用する薬などを自分でも説明できますか? (2)効果だけでなくリスクや副作用なども納得しましたか? (3)ほかの選択肢も説明を受け、自分で選択しましたか? (4)その美容医療は今すぐ必要ですか?」
「『今契約すれば安くなりますよ』といった勧誘には十分に注意を。トラブルが増えているため、気を付けて受けるようにしてください。トラブルに遭ったら、『医療安全支援センター』で検索するか、消費者ホットライン『188(いやや)』番に相談してください」
(2024年6月13日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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