“新型コロナ”3種類の抗ウイルス薬 オミクロン株BQ.1.1系統とXBB系統の増殖を抑制~東京大学などの研究グループ
東京大学などの研究グループが、新型コロナウイルス感染症の3種類の抗ウイルス薬が、オミクロン株BQ.1.1系統とXBB系統の増殖を抑制するとした研究結果を発表しました。
新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株は5つの系統に分類されていて、そのうちBA.5系統に分類される株が現在、日本を含む多くの国で主流となっています。
米国をはじめとする欧米諸国では、BA.5系統から派生したBQ.1.1系統の感染例も増加していて、インドやシンガポールなどのアジア諸国では、BA.2系統から派生したXBB系統の感染例も急激に増えてきているということです。
こうした各国の感染状況を受け、東京大学医科学研究所の河岡義裕特任教授らの研究グループは、患者から分離したオミクロン株BQ.1.1系統とXBB系統のウイルスを用いて、新型コロナウイルスの治療薬の効果を検証しました。
研究グループはまず、4種類の抗体薬、カシリビマブ・イムデビマブ、ソトロビマブ、ベブテロビマブ、チキサゲビマブ・シルガビマブが感染を阻害するか調べました。
その結果、BA.5系統BA.2系統に対して高い感染阻害効果をもつベブテロビマブを含む4種類の抗体薬全てが、BQ.1.1系統とXBB系統に対して感染を阻害する機能が著しく低いことがわかったということです。
次に、3種類の抗ウイルス薬、レムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル・リトナビルの効果を解析したところ、いずれもBQ.1.1系統とXBB系統の増殖を効果的に抑制することがわかったということです。
河岡教授らは、「オミクロン株BQ.1.1系統、XBB系統に対し、抗体薬の効果は期待できないが、抗ウイルス薬は効果が期待できる」とし、今後、動物モデルでも治療薬の効果を検証する予定だということです。