“紅麹サプリ”新たに2人死亡…小林製薬は29日会見へ 委託製造工場にも調査
小林製薬の「紅麹」をめぐる健康被害の問題で、新たに2人がサプリメントを摂取したあとに死亡していたことが分かりました。厚生労働省では、28日夕方から健康被害の原因究明などについて議論する会議が行われました。
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小林製薬の機能性表示食品 「紅麹コレステヘルプ」を摂取していた人が新たに2人亡くなっていたと、28日に小林製薬が発表しました。1人は腎疾患を伴って、亡くなったということです。一連の「紅麹」問題での死者は、これで4人となりました。
28日午後5時ごろ、小林製薬の関係者が厚労省に姿を見せました。
――亡くなられた方も出ていますが、あらためてどう受け止めている?
小林製薬の関係者
「それは残念なことというか、きちっと真摯(しんし)に対応したい」
厚労省で行われる原因究明などを説明・議論する会議へ向かいました。
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小林製薬の「紅麹」問題。この季節だからこそ、影響が大きくなっています。28日、小林製薬の株主総会が開かれました。
小林製薬の株主(28日午前 総会開始前)
「どんな話も何も管理責任だよ。これが一番問題。1月15日に分かっていて」
株主総会は非公開で行われました。冒頭、社長は次のように謝罪。
小林製薬 広報部長(28日午前11時すぎ 社長の発言を代読)
「これ以上の被害拡大防止と原因究明に全社をあげて全力で取り組んでまいります。あらためて深くおわび申し上げます。この度は申し訳ございませんでした」
株主からは、厳しい指摘があがりました。
小林製薬側
「成分がどんな影響があるのか、今後解明していきたい」
株主
「心がこもっていない。読み上げているだけ」
「(死者は)まだ増えるのか!」
社長が涙を流す場面もあったといいます。
小林製薬の株主(28日午後)
「僕は冷めた目で見ていました」
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新たに2人の死亡が確認され、腎疾患などで4人が亡くなった小林製薬「紅麹」問題。
小林製薬によると、健康被害の原因とみられるのは、去年7月から12月ごろ出荷分の「紅麹」サプリメントに含まれていた「未知の成分」。食品の着色などに使われていた「紅麹」での被害は、確認されていないといいます。
ただ、小林製薬の「紅麹」は、身近な食べ物に使われていました。
小林製薬の「紅麹」使用 岡山のパン店
「毎年桜の開花のシーズンに、桜あんを作っていた。桜あんが紅麹を使っている」
桜の季節、岡山県にあるパン店では、商品に春らしい色を付けるため、小林製薬の「紅麹」を使っていたといいます。これまで5年販売し、健康被害の報告はないといいますが…。
小林製薬の「紅麹」使用 岡山のパン店
「今シーズンの桜あんの提供を取りやめた。当店が桜で有名な公園のそばでやっているので、それでお客様が桜あんを買って桜を見るのを楽しみにしている。それができなくなった。非常にやるせない気持ち」
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小林製薬の委託でサプリを作っていた工場には、保健所の立ち入り調査が入っています。岐阜県の「紅麹コレステヘルプ」製造工場では26日、富山県でも27日、回収命令が出ている製品を作っていた2つの工場に立ち入り調査が入りました。
「未知の成分」とはなんなのか。小林製薬と共同で紅麹のゲノム解析を行っていた奈良先端科学技術大学院大学の金谷重彦教授が取材に応じました。「紅麹自体には毒性のある『シトリニン』を作る遺伝子が存在しない」と強調した上で、次のように話しました。
奈良先端科学技術大学院大学 金谷重彦教授
「誰かがぽちゃって毒を盛ろうと思えば盛れないことはないと思うけど、ありえないと思うよ」
その上で、タンク内に別の菌が誤って混入し、培養されやすい環境であったために、人体に影響を与えた可能性があるとの見方を示しました。
奈良先端科学技術大学院大学 金谷重彦教授
「最近になってから(培養に)失敗しているというのは、多分このあたりで違うカビが培養タンクに入ってきたんじゃないかなと疑わないといけないのかな」
小林製薬は29日午後、会見を行うとしています。