ヒ素濃度が上昇……「完全に毒」「皮膚ただれることも」 北海道の蒸気噴出、基準値の2100倍に 制圧は最も早くて8月下旬
北海道・蘭越町の掘削現場で白い蒸気が噴出して10日以上が経ちましたが、勢いは収まっていません。最速で8月下旬の制圧が目標に掲げられています。掘削する敷地内の水からは人体に有害なヒ素が検出され、濃度は上昇。その毒性について専門家に聞きました。
北海道・蘭越町の山林から勢いよく白い蒸気が吹き出し、周辺で人体に有害な物質が検出されている問題を巡り、2回目の住民説明会が10日行われました。
そこで配られた資料では、蒸気の噴出を止めることができる時期について「最速8月下旬の制圧を目指して作業中」と記されていました。
蘭越町の掘削現場で、三井石油開発が地熱発電の調査を行っていたところ、6月29日に白い蒸気が噴出しました。未だにその勢いは収まっていません。
掘削を行った三井石油開発によると、敷地内の水を調べたところ、人体に有害な高濃度のヒ素が検出されました。その濃度は6日の時点では飲料水の基準値の1590倍としていましたが、9日の報告では2100倍でした。数値が上昇していることが新たに分かりました。
また、この水の大半が、現場の西側にある観光スポット「大湯沼」方面に放出され続けています。道は速やかに停止するよう、同社を指導しています。
現場周辺では硫化水素も検出されていて、「頭痛と吐き気がして…」と言う人も。
現場近くにいた人が硫化水素中毒と診断され、入院する事態になりました。三井石油開発側は、これまでに4人が体調不良になっていると報告しています。
こうした中、同社の原田英典社長が10日、蘭越町役場に町長を訪ねました。
取材に「町長の方から今後の対応についてご指導いただきました。特に流出が続いている水の対応を早急に行うべきということ(でした)」と話しました。
高濃度のヒ素が含まれた水を移すための配管工事は、10日午後から始まったといいます。作業には2週間程度かかる見通しです。
基準値の2100倍のヒ素が検出された水について、専門家に聞きました。
日本ヒ素研究会・鰐渕英機副会長
「この濃度は完全に毒です。皮膚に触れてしまうと、その後ただれるなどします。非常に近い地域で、水蒸気を含んだ水滴を浴びないようにしてください」
ただ、三井石油開発によると農業用水などに使われる取水口のヒ素の濃度は低い状態です。同社は、影響を受けた農家や体調不良者には補償する考えを示しています。
(7月10日『news zero』より)