奥能登豪雨から半年 “大量の土砂”たまる河川 梅雨にむけた復旧の現状・大雨対策は
能登を襲った記録的な豪雨から半年。
国交省北陸地方整備局・本田 正和 さん:
「応急復旧で川の中にたまった土砂、川底に大量に溜まって堆積している土砂をいま、除去しようという作業をしているところです」
輪島市内では、河川の復旧工事がいまも行われていました。
国交省北陸地方整備局・本田 正和 さん:
「護岸が被災した、壊れたり倒壊したりしたところは、あちらのように大型土のうで応急的な対応をしているというところです」
1800棟近くの住宅が被害を受け、16人が命を落とした去年9月の奥能登豪雨。
中でも、特に大きな被害を受けたのが輪島市町野町です。中心部を流れる鈴屋川などが氾濫。一瞬で濁流が町を飲み込みました。
谷内 孝行 さん:
「ここの道路が本当に川のようになっていて、濁流が看板に当たって、この谷内の谷が隠れるくらいまでになってました」
町野町で豆腐店を営む谷内 孝行さん。あの日、従業員から異変を聞き、外に出てみると… すでに目の前の道路は、川のようになっていました。
谷内 孝行 さん:
「その話を聞いて10分の間にそうなってました。本当にあっという間だと思う」
これは豪雨当日の鈴屋川の水位。朝から少しずつ上昇していましたが… 午前9時半頃突然、倍の4メートルに。
その後も水かさが増し最終的に氾濫したとみられます。一体なぜ、これほど急激に水位が上昇したのでしょうか。
復旧工事にあたる北陸地方整備局の担当者は、その理由を次のように指摘します。
国交省北陸地方整備局・本田 正和 さん:
「(水の)流入量が増えたのと、やはりここ(橋)で何らかの流木とか引っかかって、水がグンと上がってしまうっていうのもあるのかなと思います」
あの日、土砂とともに流されてきた大量の流木。水位の上昇に加え、橋に流れ着いた流木が、川の水をせき止めたことで、氾濫につながったとみています。
すぐ近くでスーパーを営む人は…
本谷 一知 さん:
「なす術なしやわ。だってここまで水来てるからね。なす術はないと思う」
あふれた水はものの10分で2メートルの高さに。この先も不安が尽きないと話します。
本谷 一知 さん:
「梅雨時期に大雨降った時に、また水上がったらどうしようかっていう、その時にまた流されるんじゃないかなっていう不安が」
あと数か月で訪れる出水期。大雨による被害を少しでも抑えるために、いまだ豪雨の爪痕が色濃く残る川の上流部では…
国交省北陸地方整備局・本田 正和 さん:
「4メートルぐらいは元々の川から上がっていると思います。それだけ大量の土砂が上流から流れてきている」
豪雨で4メートルもの土砂が堆積した場所を数百メートル進むと…
国交省北陸地方整備局・本田 正和 さん:
「今、改めてコンクリートブロックを積み上げて、ここに応急的な堰堤、ダムを作って、上流からの土砂の流下を防ごうと考えています」
そこには、土砂をせき止めるためのコンクリートブロックが… 豪雨で崩れてしまったため、強度を高めた上で改めて設置し直す方針だといいます。同じく去年被災した流木を受け止めるワイヤーネットについても…
国交省北陸地方整備局・本田 正和 さん:
「今見える上流の方にワイヤーネットを作る。まだ流木がありますけど、あれらを処理しながら上流にまた入っていくということになると思います」
出水期の前までに完了する予定の応急工事。これ以外の河川でも、急ピッチで作業が進められています。国では被害があった鈴屋川などを対象に、2029年度にかけて順次、恒久的な砂防堰堤や流木止めを整備する方針です。