【速報】島根原発2号機が約13年ぶりに再稼働 福島第一原発と同型は10月の宮城・女川原発に次いで全国2番目
島根原発2号機は12月7日午後3時、原子炉を起動し、約13年ぶりに再稼働しました。午後4時50分には安定して核分裂が連鎖する「臨界」に達したということです。今後、機器の最終確認などを行い、12月下旬に発電を開始。来年1月には営業運転を開始する予定です。
東日本大震災後の2013年に新規制基準が施行されてから、福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)の再稼働は10月の宮城県・女川原発に次いで全国2番目となります。
■福島第一原発事故で停止、再稼働までの経緯
中国電力は7日午後3時ごろ、島根原発2号機で原子炉を起動し、核分裂反応を抑制するため、核燃料同士の間に差し込まれていた制御棒を引き抜き、再稼働させました。この後、原子炉を起動した状態を保ったまま、計測器や冷却水の配管などの動作を確認することにしています。
島根原発2号機は、2011年の福島第一原発の事故を受けて、2012年1月から運転を停止していました。その後、再稼働のために防波壁のかさ上げや非常用発電施設を構内の高台に設置するなど、64項目の安全対策工事を実施。2021年9月に原子力規制委員会の安全審査に合格しました。
そして、翌2022年6月には再稼働に必要な「事前了解」を、安全協定を結んでいる松江市と島根県から得ていました。当初は2024年8月に再稼働の予定でしたが、構内で発生した死亡事などの影響で安全対策工事が遅れ、12月にずれ込んでいました。
■立地する島根県の丸山知事がコメント
原発の再稼働を受け、島根県の丸山達也知事は「中国電力には、これまで以上に安全を最優先に慎重に(営業運転再開までの)工程を進めてもらう必要がある」とコメントを発表。引き続き、作業の進捗(しんちょく)確認など、県民の安全のため状況を注視してく考えです。
■再稼働した島根第2原発、今後の動きは?
原子炉は起動から2時間ほどたった午後4時50分に、核分裂が連鎖する「臨界」に達しました。今後は、原子炉が高温・高圧の状態になった段階で、いったん制御棒を操作し核分裂を抑制。格納容器内の機器の動作を確認するため、内部で点検を行う予定です。
この点検で正常だと確認されれば、再び臨界状態にし出力を50%まで上げ、発電用のタービンの起動テストを実施します。その後は一度、原子炉を「中間停止」にし、8日ほどかけ、設備・機器の点検や検査清掃を行うということです。
ここまでの工程に問題がなければ、12月下旬に再び原子炉を再起動し、定格出力での発電テストへと進み、来年1月上旬から営業運転を始める計画です。
■中国電力は再稼働の収益改善効果に期待
島根原発2号機の再稼働で、中国電力の2025年3月期の収益は110億円ほど改善する見通しで、通期で稼働する2026年3月期には400億円の収益効果が期待されるということです。2024年3-9月期の中間連結決算は、売上高が7419億円(前年同期比11.8%減)、純利益は516億円(同58.0%減)と減収減益となっていました。
■再稼働で電気料金はどう変わる?
電気料金については、家庭向けの「低圧」契約は2023年6月の改定で再稼働を織り込んだ設定(1キロワットアワー当たり約1円値下げ)となっているため、追加の値下げはありません。一方、産業用の「高圧」「特別高圧」の料金は来年度から1キロワットアワー当たり0.3円引き下げる予定だということです。