【読み解く】冬場の引きこもりにも注意!健康で長生きするための「フレイル予防」 効果的な体操・予防のポイントは?
月に1度、鳥取県立中央病院で、今の時期に気を付けたい病気などについて話を聞いています。今回のテーマは「フレイル」です。
■ 「フレイル」とは?
年を重ねても健康な状態を長く保つため、今「フレイル」という考え方が広まっています。フレイルというのは「加齢に伴って健康障害に陥りやすい状態」。簡単に言えば「要介護状態ではないけれど、健康とは言えない」という、狭間の状態です。
一度、介護状態まで行ってしまうと、健康に戻るのは大変ですが、フレイルを自覚して対策することで、健康寿命が延びると言われています。
■ フレイルの判断基準は?
フレイルの判断基準や予防法について、取材しました。今回お話を伺ったのは、鳥取県立中央病院の理学療法士の上村桂一さんです。
Q.フレイルの状態の判断基準はどういったものがありますか?
理学療法士 上村さん
「5つの項目のうち、3つ以上該当すると、フレイルに判定されます」
理学療法士 上村さん
「1つ目は体重減少。ここ半年間で2~3キロ以上の体重減少があれば、該当します。2つ目は筋力低下。男性で握力が26キロ未満、女性で18キロ未満であれば該当します」
このほか、「何もしていないのに疲労感がある」「歩くスピードが落ちている」「運動を週に1回もせず、身体活動が低下している」の3項目。5項目のうち、3つ当てはまると「フレイル」と言えます。
このうち、2つ目の筋力低下について、家で簡単に握力を測る方法として、ペットボトルを使う方法があります。
理学療法士 上村さん
「ペットボトルのフタが開けられない方は、握力が15キロ以下とされていますので、握力低下の判定となります」
また開け方にも、ポイントがー。
理学療法士 上村さん
「逆筒握りと言いまして、筒を逆から握るように精いっぱい力を入れて開ける方は、筋力低下傾向と考えてよいと思います」
■ 家で対策!かんたんな運動は?
Q.家でできる運動は、どのようなものがありますか?
理学療法士 上村さん
「最近、こけたり、歩くのに不安のある方は、手すりを持ちながら注意して行ってください。まず、しっかりとかかとを上げる運動や、ももを上げる運動。そして、足を外側にあげる運動。ハーフスクワット。椅子にお尻がつかないところで止めて、立つ。つかないところで止めて、立つ足が疲れるまでしっかりやってください」
■ 「フレイル」は身体機能…だけではない!
「フレイル」はこうした身体の機能だけでなく、鬱や認知症といった「精神心理的フレイル」、社会とのかかわりが減る「社会的フレイル」など、さまざまな側面があるといいます。
理学療法士 上村さん
「家の中に引きこもるよりも、やはり外に出るということが、足腰を使ってしっかり歩くことにもつながります。社会的なフレイルというのが、一人暮らしでご高齢の方が多くて社会的な問題になっておりますので、誰かと関わって外に出る機会を保つというのが、健康を保つ秘けつだと思っています」
■ フレイル予防 3つの柱
予防の3つの柱は
・身体活動(紹介した体操など)
・栄養(特にたんぱく質)
・社会参加して、人とのかかわりを持つ
これから一層寒さが厳しくなって、特に高齢の方は外出の機会が減る時期となります。ご自身に合った方法やコミュニティを見つけて、この3つの柱を意識してみてください。