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阪神・淡路大震災から30年 被災した男性が取り組み続ける『住宅の耐震化』その思いとは【高知】

2025年1月16日 18:54
阪神・淡路大震災から30年 被災した男性が取り組み続ける『住宅の耐震化』その思いとは【高知】
阪神・淡路大震災から1月17日で30年になります。こうちeyeでは16日と17日の2日間、震災をきっかけに見直され、動き出したものの今を取材しました。

今回は「住宅の耐震化」です。

1995年1月17日午前5時46分。淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生しました。阪神・淡路大震災です。神戸市、芦屋市、西宮市などで最大震度7を観測し、死者6434人・行方不明3人。多くの住宅が炎に包まれ全壊10万4906棟を含む63万9686棟が被災するなど未曽有の大災害となりました。

阪神・淡路大震災をきっかけにクローズアップされたのは「住宅の耐震化」です。
震災で亡くなった人の8割が倒壊した家屋の下敷きになったことによる圧迫死で、1981年(昭和56年)以前の建築基準法の古い耐震基準で建てられた住宅の多くが大きな被害を受けたため、耐震化の必要性が叫ばれるようになりました。

阪神・淡路大震災を経験してこれまでずっと住宅の耐震化に取り組んできた男性がいます。
高知県中小建築業協会の技術顧問で耐震診断士の立道和男さんです。
30年前、大阪の守口市で工務店を経営していた立道さん。発災から2日後の1月19日、立道さんは顧客からの連絡を受け神戸市に入りました。

「自分にできることは何か」
立道さんは阪神・淡路大震災をきっかけに、限られた予算のなかで地震に対して最大限の効果を発揮するためには家のどの部分にどのような工法で補強をすればよいのか。自身の知識と経験を活かして取り組み続けてきました。

あれから30年。立道さんは今も第一線で耐震改修工事を続けていて、これまでに手掛けた住宅は1500件にのぼります。

去年の元日に発生した能登半島地震でも古い家屋の倒壊が相次ぎました。住宅の耐震化をさらに加速させるために県内の市町村は補助金を引き上げ、高知市では最大110万円から120万円に引き上げられました。10万円増額されたことで、より地震に強い対策を講じることができると立道さんは言います。

ある施主さんの住宅でかかった費用は自己負担が76万円。もっと少ない費用でもできるものの10万円の補助金増額と、住み慣れた家を守りたい思いもあって制震ダンパーを使った耐震改修工事を決めました。

阪神・淡路大震災の経験をもとにこれまで培ったノウハウは講習会を開くなどして伝えてきました。そして今、立道さんは実践してきた耐震の技術を若い世代に直接伝えています。

県内の住宅の耐震化率は2023年度末時点で推定で89%まで進んでいます。後継者を育成し、住宅の耐震化をさらに進めるだけではなく、命を守るためには地域の繋がりを充実させることが大事だと30年前の震災で実感したといいます。

地域住民の防災への意識を高めるには自治体の協力が不可欠です。
1月9日、香南市役所を訪ねた立道さん。濱田豪太市長や中小建築業協会の会長、県の担当者などを交えて香南市の住宅耐震の取り組みの現状や課題などを話し合いました。香南市によりますと耐震化が必要な昭和56年以前に建てられた住宅が約2000戸あります。

防災意識を高める啓発活動や補助金の上限を165万円に引き上げるといった対策がこれまでにも進められてきましたが、それに加えて耐震改修を地元の事業所が積極的に担っていくことでより地域が活躍できる仕組みづくりを目指します。
立道さんが描く地域の繋がりを充実させ命を守る取り組みです。

阪神・淡路大震災から30年。
自らの経験を活かし、地震から命を守るために取り組み続けてきた立道さんの思いは着実に広がりを見せています。
最終更新日:2025年1月16日 18:54
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