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【特集】“笑顔の花火”でみんなを笑顔に! 新たな挑戦が夜空に広がる…コロナ禍の苦難を乗り越え、感動を届ける花火師の奮闘と“家族の応援” (every.しずおか)

2023年12月7日 13:51
【特集】“笑顔の花火”でみんなを笑顔に!  新たな挑戦が夜空に広がる…コロナ禍の苦難を乗り越え、感動を届ける花火師の奮闘と“家族の応援” (every.しずおか)

2023年、4年ぶりに開催された「ふくろい遠州の花火」。この日を誰よりも待ちわびていた花火師・小口さんが「みんなに笑顔を届けたい」と開発したのが、「いないいないばあ」という名のオリジナル花火。それはまるで、顔を手で隠してから、突然、笑顔が現れる「いないいないばあ」そのもの。

「笑顔の花火」でみんなも笑顔にしたい!コロナ禍の苦難を乗り越え、人々に感動を届ける花火師の挑戦に密着しました。

コロナ禍からの再生

静岡県湖西市にある三遠煙火。創業71年、日本三大花火大会の一つ「大曲の花火」で最高賞を受賞するなど、全国屈指の花火会社です。コロナ禍で花火の依頼は例年の2割ほどに落ち込み、会社は休業を余儀なくされましたが、2023年、ようやく行動制限のない夏が戻ってきました。

(花火師 小口雅央 さん)
「イベント的にはほぼ戻ってきた。4年間待っていてもらって、開催してくれるのは感謝しかない」

花火師の小口雅央さんは、一度は一般企業に就職しましたが、祖父の代から続くこの三遠煙火を守るため、10年前、花火師の道に足を踏み入れました。

(花火師 小口雅央 さん)
「花火を上げて、お客さんが『わ~!』って言うじゃないですか。音の圧が来るんです、鳥肌ものなので。コロナが明けたので『わ~!』って言ってくれれば」

新たな挑戦!

4年ぶりに開催される「ふくろい遠州の花火」では、全国から選び抜かれた花火名人による「競技コンクール」が開催され、そこに小口さんも参加。花火を連続で打ち上げる“スターマイン”で、いかに独自性を出し美しく見せるかを競います。

(花火師 小口雅央 さん)
「みなさん同じ大きさの玉の中でアレンジするんですけど、独自の技術が詰まっている」

今回、その秘密兵器が、小口さんが開発した「いないいないばあ」というユニークな名前の花火。

(花火師 小口雅央 さん)
「最初は黄色い花火がボーンと出てくるんですけど、黄色い花火が消えていくと、中から顔が出てくるんです」

顔を手で隠した状態から突然笑顔が現れる「いないいないばあ」を花火で表現するという、これまでにない難易度の高い挑戦です。

(花火師 小口雅央 さん)
「時間差で出てくる花火を作れたら面白いなと、どうやって作ればいいのか全てがイメージできなくて、3年くらいかかった気がします」

小口さんが披露するスターマインのタイトルは「ひまわり畑でかくれんぼ」。黄色や緑の花火で“ひまわり畑”を表現し「いないいないばあ」で“かくれんぼ”をする子どもを表現します。

(花火師 小口雅央 さん)
「ひまわり畑で花をかき分けて、子どもを見つけた!という雰囲気がお客さんに伝わるとうれしいです」

そんな小口さんが作る花火の一番のファンが、奥さんと3人の子どもたち。

(妻・麻友子さん)
「狙うなら上を目指してほしいです。すごく期待しています」

Q:お父さんの花火はどんな花火?
「面白い花火 全部面白い、次の花火も面白い花火がいい」

“笑顔”は夜空に届くか?

そして、いよいよ本番の日がやってきました。朝から花火の筒を設置していきます。スターマインで使用する200発もの花火の打ち上げはコンピュータで制御するため、1つ1つ、そのタイミングを登録していきます。そして、点火装置と花火を約200本のケーブルで1つ1つ確認しながらつなげていきます。

日が暮れはじめ、この日を楽しみにした多くの観客が集まってきました。花火の打ち上げもスタートして、小口さんの順番が近づいてきます。

(花火師 小口雅央 さん)
「いよいよですね。自分が作ったプログラムが構想通りに出るか、そこの心配だけです」

そして、会場には小口さんの花火を誰よりも楽しみに待つ家族の姿が!

「パパ頑張れ~」「次の次だ、パパの花火」

いよいよ全国トップクラスの花火名人10人による競技が始まりました。そして、小口さんのスターマイン「ひまわり畑でかくれんぼ、みんなみーつけた」の点火ボタンが押されました。しかし…音楽は流れ始めましたが、肝心の花火が打ち上がりません。

(花火師 小口雅央 さん)
「トラブルですね、出てない。なんで出ないんだろう」

ひまわりを表現した一部の花火は打ち上がりましたが、メインである「いないいないばあ」は一つも打ち上がることなく、終了してしまいました。どうやら点火装置のトラブルで発射されなかったようです。まさかの失敗…それでも…

(長女・華ちゃん)
「どれもきれいだけど、パパの花火が一番きれい」

(長男・蔵之介くん)
「パパの花火が一番きれいかな」

子どもたちからパパを気遣う、優しい言葉が溢れます。

(花火師 小口雅央 さん)
「期待に応えられなかったのは、大変申し訳ないなという思いが強いですけど、反省を生かして、次はちゃんと出せるようにしていきます」

「いないいないばあ」が夜空に輝く!

2週間後、小口さんの姿は愛知県・阿久比町の田んぼの中にありました。今年度の町のテーマが「笑顔でかける未来」ということで、町政70周年を記念した花火大会に、小口さんの花火が選ばれたのです。

(花火師 小口雅央 さん)
「きょうこそは、楽しみにしてもらっているので、しっかり打ち上げたいと思う」

そして、花火大会がスタート。お馴染みの花火が打ちあがる中、ついに小口さんの「いないいないばあ」が。

(花火師 小口雅央 さん)
「あっこれ!うん、いいんじゃない?」

顔が隠れた状態から、突然現れるとびきりの笑顔。まさに「いないいないばあ」のようです。満面の笑顔が次々と夜空を彩り、大成功!

(花火師 小口雅央 さん)
「花火大会が終わって拍手をもらっている瞬間が、一番やって良かったなと思いますね」

コロナ禍での苦難の時期を乗り越え、小口さんの花火師としての新たな歩みが始まりました。

(花火師 小口雅央 さん)
「喜んでいただけたのではないかと思います。よりきれいに、皆さんに喜んでもらえる花火を作っていきたいと思いますし、それがモチベーションになるので、今後も長く続けていきたいと思います」

(静岡第一テレビ every.しずおか 2023年8月25日放送)

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