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【特集】中学生が運営するトレラン大会 地域を盛り上げ里山で学ぶ 生徒数の減少で求められる新しい教育活動とは 《新潟》

2024年6月23日 18:00
【特集】中学生が運営するトレラン大会 地域を盛り上げ里山で学ぶ 生徒数の減少で求められる新しい教育活動とは 《新潟》

舗装されていない登山道などを走り抜ける「トレイルランニング」いわゆる「トレラン」の大会が6月2日、十日町市で開かれました。

今回の大会には実行委員として中学生が携わっていました。
里山を舞台にしたトレランに中学生が関わっている理由とは?

◆スポーツ大会の運営に中学生が

英語であいさつしているのは中学生。さらに……自然を守る取り組みまで……。
実はこれ、スポーツ大会の仕事なのです。

なぜ中学生が?
大会を陰で支える彼らの活動を追いました。

◆年々、生徒の数が減少

山に囲まれた十日町市立松代中学校。
全校生徒48人の小さな学校です。
多い時には350人以上が通っていましたが年々、生徒の数が減少。
過疎化が進む地域ならではの課題を抱えていました。

◆「今までやってきた教育活動を維持できない」

〈十日町市立松代中学校 村山裕之校長〉
「ずっと課題にあった生徒数がまず減少した。今までやってきた教育活動を維持できない。昔やったようにするのが難しい。だから新しい活動にかえていかなければいけない」

これまで“遠足”も地域の人と一緒に行ってきた松代中学校。
しかし高齢化や人口減少などで続けることが難しくなっていました。

◆舗装されていない道を走る「トレラン」 

そんな中、去年初めて開かれたのが……
“越後まつだい春の陣”。
国の内外から400人あまりが参加したトレイルランニング……いわゆるトレランの大会です。
トレランとは舗装されていない道を走るアウトドアスポーツ。
登山道や林道を走り抜けます。

◆大会を企画したのは移住してきた女性


大会を企画した新坂志保里さんです。

〈新坂 志保里さん〉
「最初のころはもっと若い木が生えていたりとかしてたので」

東京から松代に移住してきた新坂さん。
趣味のトレランを通して地域を盛り上げようと大会を企画。
使わなくなった生活道路“古道”に注目し、ほとんど手作業でコースを整備してきました。

〈新坂 志保里さん〉
「スポーツ大会を開催したくて“春の陣”を作ったというよりは地域の子どもたちとか里山の環境を守っていきたいという気持ちでそれを目的でスポーツ大会を開催したんですね」

◆生徒が大会の実行委員として運営

こうした活動に松代中学校が共感し、ことしから遠足のかわりに大会の実行委員として生徒が運営にかかわることが決まったのです

〈十日町市立松代中学校 村山裕之校長〉
「海外の人とか県外の人が来る、その人たちに笑顔で手を振るとかそういうコミュニケーションだけでも子どもたちにはすごく価値があるなと思ったし我々も松代のことを知ってるようで知らないことも多くて、松代の歴史もそうだし地形とか松代の自然の本当の良さとか、トレランの活動を通していくといろんなことが学べるんじゃないか」

去年の秋から「総合的な学習の時間」としてコース上に苗木を植える活動などをスタート。

大会の準備と並行して里山の環境についても学んできました。

◆エコスタック

この日……3年生が、コース上をふさいでいた木や枝などを拾い集めていました。
取り組んでいたのは……

「エコスタック」とは木の枝や落ち葉などで作る生き物のすみかのこと。
やがて、たい肥となり里山の環境保全に役立ちます。

〈男子生徒〉
「遠足無くなっちゃうのは悲しいですけど、トレランのお手伝いができるので地域に貢献できるのは楽しいです」

◆中学生が海外選手に英語で説明

大会当日はあいにくの雨。
新坂さんと中学生は実行委員やボランティアとともに準備に追われます。

その中になにやら緊張を隠せない生徒たちが……。

彼らは、海外選手に英語で説明する司会グループ。はたして、うまく話せるでしょうか?

緊張した面持ちでマイクを手にしていましたが、無事に大役を果たせました。

◆400人以上が参加

そして当日、レースがスタート。

松代の里山をめぐる全長25キロのレースと初心者や子供向けの2キロのレースに、あわせて400人以上が参加しました。

上りの高さを合計した累積標高は1300メートル。
制限時間6時間45分以内でゴールを目指します。

「がんばってー」

所々にある大地の芸術祭の作品や棚田の景色を見ながら、新坂さんと中学生が整備した古道を駆け抜けます。

◆エイドステーションで食事のおもてなし

レースの楽しみのひとつがエイドステーションでの食事。
地元のお母さんたちが作った山菜料理や漬け物が大人気。


〈参加した人〉
「エイドでこんなの初めて」

〈参加した人〉
「おいしい、おいしいエイド最高!」

〈地元のお母さん〉
「たのしーい。頑張れる。もっと長生きできるかな?」

地域を元気に……これも大会の目的のひとつです。

◆「中学生の一致団結の力が」

そして……
スタートから2時間あまりでトップ選手がゴール。

〈トップの選手〉
「こんなところにも道があるのかっていう、楽しかったです」

「松代最高!イエーイ」

中学生もマイクを使って盛り上げます。

<生徒>
「声援を送ってあげてください」

「がんばれー」

「ラスト、ガンバでーす」

生徒たちは選手とともに長い一日を走り切りました。

〈英語であいさつした生徒・佐藤羽音さん〉
「こういう機会で松代の良さを広めながら自分たちも勉強になる活動ができてよかったです」

〈新坂 志保里さん〉
「中学生の一致団結の力がすごく発揮されて自分で考えてがんばろうと言ったら本当にそうしてくれて運営側としてはすごくよかったと思います。この高い能力を生かせる場面というのをもっともっと作ってあげたいなと思いました」

地域の里山を知り、学びを深めた生徒たち……
大会に携わることで一人一人の成長にもつながっているようでした。

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