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【特集】震災13年 「伝えたい」福島から新潟に避難した男性が能登支援コンサート企画 参加する高校生と交流《新潟》

2024年3月15日 20:46
【特集】震災13年 「伝えたい」福島から新潟に避難した男性が能登支援コンサート企画 参加する高校生と交流《新潟》
東日本大震災から3月11日で13年。福島県から県内に避難した男性が能登半島地震を支援しようとチャリティーコンサートを企画しています。参加を呼びかけたのは加茂市の高校生たち。
イベントを通じて生徒たちに伝えたいメッセージがありました。

伝えたいメッセージ

高校の放課後。

集まった生徒たちにあの日の記憶を伝えます。

室井善範さん
「コトコトコトって『あぁ地震だ』って、ゴトゴトゴト、『あぁちょっと大きいな、まあでも大丈夫だろう」って、そしたら次の瞬間ドカーンと「これはただ事じゃないな」と思って。地震はやってくる時は間違いなくやってくる。それで生死が分かれる。生き残った人もいる。90歳で助けられた人もいれば、赤ちゃんで下敷きになって亡くなった人もいる、選べない」

室井善範さん71歳

室井善範さん71歳です。震災直後、暮らしていた福島県から新潟に避難してきました。この日訪れたのは加茂暁星高校。看護を学ぶ生徒たちを前に震災の記憶を語りました。

震災当時は小学校の入学前

立川ひばりさん、19歳。震災が起きたときはまだ小学校の入学直前でした。

加茂暁星高校 立川ひばりさん
「東日本大震災の時、私たちは皆(幼稚園・保育園)年長くらいで自分たちで何かするということはできない年齢だったが、今回の能登半島地震は19歳で初めて震災に対して何かをするということになるので自分のできることをできたらいいなと思います」

「こんなに協力してくれる子たちがいる」

太鼓の演奏者である室井さん。元日に起きた能登半島地震の被災地を支援するためにチャリティーコンサートを企画しました。そのコンサートに生徒たちも参加することになり、室井さんとの交流が始まりました。

生徒
「イベントに向けている思いとかを共有させていただいて、同じくらいの熱量で頑張りたいと思います」

室井善範さん
「こんなにみんな気持ちが動いて協力してくれる子たちがいるんだと。現地に行かなくても支援できることが、俺はあると思う」

「人生が変わってしまった」

2011年3月。地震と原発事故によって福島県を中心に多くの避難者が新潟県内に身を寄せました。

当時、福島県で太鼓の演奏者として生計を立てていた室井さん。いつも通り練習していた際、突然、体験したことのない大きな揺れに襲われました。

「人生が変わってしまった」。そう振り返ります。

新潟県に避難した室井さん

室井さんが暮らしていたのは福島県玉川村。自宅が倒壊したことから、友人を頼って新潟に避難しました。

避難後に加茂市で作業場を作った室井さん。手がけるのはオリジナルの「片面太鼓」と呼ばれる楽器です。和太鼓と違って胴の部分がなく臨場感あふれる力強い響きが特徴です。

各地で太鼓を演奏

その後、室井さんは避難所や各地のイベントを回り、太鼓を演奏してきました。

室井善範さん
「乗り越えられない試練は与えられないんじゃないかな。それを乗り越える勇気が、奮い立つ勇気が、まだ目覚めていないのかなと思う。それを太鼓でドドン!と目を見開いていただければ嬉しいと思います」

誰かを励ます存在でありたい。演奏に込める決意です。

13年経ち「ギャップが」

太鼓とともに自分の記憶と経験を伝えてきたこの13年。いま、思うことがありました。

室井善範さん
「俺たちは経験して13年経っておそらく忘れることはあるわけがないし、色々思うことがあります。子どもたちの話しを聞くとそれを知らないわけだから、変なギャップみたいなものがあってね」

復興支援コンサートに高校生たちが参加へ

震災当時を知らない世代とのギャップ。そんなことを感じていた時、能登半島地震の復興支援コンサートを企画すると、加茂暁星高校の生徒が参加してくれることに。

演奏だけでなく会場設営のボランティアも含めて80人ほどの生徒が手をあげてくれました。

室井善範さん
「ただ来た人に聞かせるのではなく、自分たちの思いを届ける心で演奏してほしい」

チャリティーコンサートは3月20日に加茂市で開きます。生徒のほかにも地元の中学生がパフォーマンスを披露し、寄付金は全額、被災地へ贈ることにしています。

「書道」でコンサート参加も

震災の時、7歳だった立川ひばりさん。演奏はできませんが、得意な書道でコンサートの看板を書きあげました。イベントの準備を進める中で室井さんと交流し、過去の災害を学ぶ意味を感じたといいます。

立川ひばりさん
「東日本大震災は忘れちゃいけないことだと思うし、それを知っているからこそできる行動だったり、伝わるものがあると思うので私たちの世代も、もう少し下の世代の子たちも知っていくことが大事なのかなと思う」

室井善範さん
「実は福島に住んでいて被災してこっち(新潟)に来たんですって必ず伝えているんです。それを伝えることによって、「あっ!震災でね」「あっ!そうなんだね」って、何かの機会で東日本大震災を思い出して話してもらいたいそのきっかけを少しでもつくれればいいと思ってね」

能登半島地震で新潟県でも被害

東日本大震災の後も全国各地で地震が起き、命を失う人たちがいます。

記憶に新しい元日の地震。

新潟県内で犠牲者は出なかったものの、多くの住宅に被害が出ました。

「伝えていきたい」

室井さんは災害の教訓を次の世代に伝えていくことがこれまで以上に大切になっていると感じています。

室井善範さん
「多くの人が命を犠牲にして、それを教訓としてみんなの心に刻んでもらったのだと思う俺は。常に心のすみに(教訓を)置いてあれば何かあったときに行動がすぐできる。それが経験した人としていない人で違うのだろうが経験していない人たちにもこれを伝えていきたい」

震災を自分事としてとらえて欲しい。そのメッセージを伝えるために室井さんは生徒たちとコンサートのステージに立ちます。


2024年3月12日「夕方ワイド新潟一番」放送より

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