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豪雨で甚大な被害を受けた最上地域の産業 農業・漁業・観光業など幅広い業種に

2024年8月7日 17:12
豪雨で甚大な被害を受けた最上地域の産業 農業・漁業・観光業など幅広い業種に

緊急報告・豪雨被害の現場から。3回目は、甚大な被害を受けた最上地域の産業に焦点を当てます。農業、漁業、それに観光業など幅広い業種に深刻な被害が出ています。大矢賢悟記者の報告です。

7月25日の朝、JR新庄駅。この日、山形新幹線で東京へと運ばれたのは、旬を迎えた「尾花沢すいか」でした。トラックよりも早く、時間通りに到着する新幹線の特性を生かした輸送です。
しかしこの後、鉄路を寸断する豪雨が襲うことはこのときまったく予期できませんでした。

豪雨は戸沢村など最上地域にも甚大な被害を及ぼしました。濁流によって夏野菜の代表格トマトやナスも泥に覆われました。

皿島 浩さん「片付けにかなりの日数を要すると思うので、 収穫できないし厳しいかなと今後の生育はくやしいですけど」

山川麻衣子アナウンサー「川の水は隣にあるナメコの生産工場にも押し寄せました」

鮭川村では特産品のキノコに深刻な被害が。こちらの工場ではナメコを栽培している瓶およそ1万4000本が流されました。被害額は数百万円に達しました。さらに工場内は空調設備も故障し、栽培に適さない高温となっていました。

熊谷ナメコ生産所 熊谷佳之代表「通常はクーラーがついていれば13度くらいになっている部屋」
山川アナ「今は20度後半くらい?」
熊谷さん「ありますね。高温だと形が不格好になって出荷できるようなスタイルではなくなる」

アユで知られる舟形町の最上小国川ではー

NNN取材団・伊藤悠貴記者「川の水はやや濁った程度ですがアユのやな場は現在も鉄骨がむき出しの状態となっています」

舟形町と最上町を流れる最上小国川では毎年秋になると産卵のため下流に向かうアユを捕まえる「落ちアユ漁」が行われます。そのアユを捕まえる「やな場」が壊滅的な被害を受けました。舟形町と最上町にあわせて6つあるやな場の全てが崩壊するなどしたとみられています。

小国川漁協・伊藤欽一組合長「復旧にはかなりの手間とお金がかかるのかな取れなくなると来年のアユの生育に非常に支障をきたす。やな場は早急に復旧させて10月の落ちアユを捕まえなくてはならない」

農林水産分野での被害額は県全体で少なくとも60億円に上っています。
一方、最上地方の観光業にも大きな打撃が。戸沢村では名物・最上川舟下りの舟11隻が流されました。
およそ40キロ下流の酒田市の最上川河口近くに流された舟や秋田県のにかほ市まで流されたものも。

船頭・三瓶勇さん「見つかった舟はほとんどが使えない状態。半分になってしまったり穴が開いているのがほとんど」

最上三十三観音の最終札所で多くの参拝客が訪れる鮭川村の庭月観音。堤防を挟んですぐそばを流れる鮭川が濁流に変わりました。水は本堂の床上まで流れ込み、救助隊員のへそほどの高さまで。掛け軸や絵馬など貴重な文化財も被害を受けました。

庭月観音・庭崎賢恵住職「これは巡礼とか念仏踊りの様子明治時代のものすごい貴重なものなんです」

庭月観音に多くの人が訪れる毎年8月18日の「灯篭流し」。ことしは鮭川に流さず、規模を縮小して境内のみでの実施を余儀なくされました。

庭月観音・庭崎賢恵住職「65年間続いてきたものができなくなったということが先代住職に対しても信者に対してもすまないと思う」

被害はお盆の書き入れ時を控えた温泉施設にも。最上町の瀬見温泉では山の斜面が崩れ、大浴場や露天風呂に流れ込みました。

ゆめみの宿 観松館高橋裕 社長「かなりショックで泣きそうになりましたよね。被害状況を見た時は」

被害によって旅館は休業に。おととい(5日)も復旧に向けた泥の撤去作業に追われていました。

ゆめみの宿 観松館 高橋裕社長「お風呂のほうは泥の撤去が今進んでいるがまだ細かい泥がいっぱいあるので掃除が大変」

大矢記者「大雨から1週間以上経過した現在も周囲には大量の土砂が堆積しています」

復旧作業は長期化する見込みで、休業期間を9月16日まで延長せざるを得ませんでした。

ゆめみの宿 観松館 高橋裕社長「10月下旬くらいからこの辺も紅葉してくるので それを楽しんでほしいしお風呂もきれいに掃除して楽しんでもらいたい」

鮭川村の温泉地・羽根沢温泉の旅館も建物や庭に土砂が流れ込みました。猛暑の中、連日、土砂をかき出す作業に当たっていますが、営業再開には時間が掛かる見通しです。

ホテル紅葉館元木洋典 専務「ここまでの土砂災害は多分かつてなかった全国から足を運んでいただいていたので何とか再建に向けて頑張ろうかなと思っている」

こうした中、8月1日。戸沢村の舟下りが営業を再開しました。

利用者「災害の跡が見受けられたので、想像した最上川とは少し違ったけれど乗れてよかったなという思い、せっかく来たのでまた、きれいになった最上川の姿を見たい」

大石田と新庄の間で運転を見合わせていた山形新幹線。多くの利用者が見込まれるお盆期間前の8月10日から全線で運転を再開します。
甚大な被害を受けた最上地域。復旧の歩みも少しずつ進み始めましたが、これまで通りの日常を取り戻すまでの見通しはまだ立っていません。

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