×

樹氷を形成するアオモリトドマツ 枯れて10年経つと倒木増加 研究結果発表

2024年3月4日 18:20
樹氷を形成するアオモリトドマツ 枯れて10年経つと倒木増加 研究結果発表

蔵王の樹氷を形作るアオモリトドマツが害虫の食害によって2万本余り枯れた問題を巡り、アオモリトドマツが枯れて10年が経つと、倒れる木が増え始めるという研究結果が発表されました。木が倒れると樹氷もできなくなるため、樹氷の危機が深刻化することが指摘されています。

アオモリトドマツの害虫による被害の推移と樹氷への影響について研究結果を発表したのは、山形大学農学部の斉藤正一客員教授です。

山形大学農学部斉藤正一客員教授「時間の流れとともに木の形が段々小さくなったり折れたりと様態が見えてきたのでどんどんそういうものが増えていくと予想される。」

蔵王のアオモリトドマツは、2013年頃から害虫による食害が相次ぎ、山頂付近の広い範囲でおよそ2万3000本が枯れました。
斉藤客員教授らは、被害が発生する前の2012年からおととしまでの10年間、山頂付近のアオモリトドマツ15本を継続して調査しました。その結果、枯れ始めて5年ほどが経った頃から小さな枝がなくなりはじめ、10年ほどが経つと、折れたり倒れたりする木が増えることがわかりました。

山形大学農学部斉藤正一客員教授「一番酷い様態の折れたり倒れていたりするものが3割くらい。その前の段階で先の方だけ折れたり曲がったりしているものも含めると、10年経つと全体的にそういう形になってくる。」

こちらは、調査している木を樹氷が出来る前後に撮影したものです。折れてしまった木に出来た樹氷は、高さが低く小さくなっています。枯れた木でも樹氷は出来ますが、時間が経つにつれて木が倒れたり、大きな幹が折れたりすると、今後、樹氷が見られなくなることも懸念されています。

山形大学農学部斉藤正一客員教授「こうやって途中で折れてしまうと潰れた形の樹氷になってしまう。段々木の形が変形して小さくなっていくと同じように樹氷も小さくなっていく」

蔵王の樹氷を形作るアオモリトドマツが枯れて既に10年が経っていて、今後、倒木が相次いだ場合、樹氷が消滅する危機が深刻化する可能性があるということです。斉藤客員教授は、アオモリトドマツの再生に向け植樹などの活動を継続する一方で、再生には50年から70年以上がかかることから、人工的に枝を作るなど樹氷を残していくための新たな対策も考えていく必要があると指摘しています。

    山形放送のニュース
    24時間ライブ配信中
    日テレNEWS24 24時間ライブ配信中
    logo

    24時間ライブ配信中