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ワリエワ選手“母親の証言” 音声の全貌から混乱の要因探る①

2022年2月18日 13:16
ワリエワ選手“母親の証言” 音声の全貌から混乱の要因探る①
演技後に涙をこらえるワリエワ選手(写真:AFP/アフロ)

“金メダル大本命”から一転、“ドーピング疑惑”で視線が注がれ北京五輪フィギュア女子4位に終わった、15歳のカミラ・ワリエワ選手。混乱は避けられなかったのか? 選手資格の暫定停止処分解除をめぐる「聴聞会」での“母親の証言”とみられる音声を、調査団体が入手。そこから浮かび上がった混乱の要因とは。

■代理人はドーピング疑惑と切り分けた“迅速な結果”求める

代理人とみられる人物(以下、代理人)
「尊敬する委員会の皆様、議長、きょうは未成年であるワリエワ選手の聴聞会です。トリメタジジンが選手の体内に入った説明として唯一、可能なのは、偶然、体内に入ったということです。それ以外の説明はありえません」

「これから詳細をお話ししますが、公平で正しい判決をくだすようにお願いいたします。資格停止処分を早く解除するようお願いします」

「重要なことを強調させてください。今回は、資格停止が適切かどうかということを議論するために集まりました。2月8日から選手が資格停止処分を受けています。きょう必ず決めなければいけないことは、これだけです。ドーピング違反は必要に応じて別途、別の聴聞会で議論されるべきです」

「カミラは15歳のフィギュアスケート選手です。3歳からフィギュアスケートを始めました。今の結果を達成するために、生まれた時からずっと一所懸命、頑張ってスケートをしていました。若い年齢で本当にたくさんのことを達成してきました。カミラは神童と呼ばれることが多く、唯一無二、最強の選手だといわれています。優れた技術力と表現力があります。ワリエワ選手にとって初めてのオリンピックで出場は夢でした。これも長年の努力の結果です」

「これまで10回以上、ドーピング検査を受けていますが、陽性になったことは一度もありません。これは非常に重要なことです。去年12月の検査の後に行われた今年1月13日、2月7日の2回の検査でも陰性でした」

■トリメタジジンは「むしろ有害で効果なし」と主張

代理人
「(検出された禁止薬物)トリメダジジンは、狭心症と虚血性疾患の予防に使われる医薬品です。高齢の方々に使われることが多いです。未成年の場合は原則禁止とされています。取り扱い証明書にあります。そして効果を得るためには何回か飲むだけでは不十分で、長い期間にわたって飲む必要があります。もし競技能力を高めるためなら、次の検査も陽性になっているはずです」

「副作用として眠気、運動障害があげられています。それらはフィギュア選手にとってはむしろ有害です」

「トリメダジジンは、カミラと頻繁に接する祖父が服用しているものです」

「練習だけではなく、金メダル獲得をめざして個人戦に参加できないことは、選手に修復不能な損害を生じかねません。我々は暫定停止処分の速やかな解除を求めます」

■働く“母親”証言「我が子の精神状態は悪い」

代理人
「母親からも発言させてほしいとのことです」

議長
「もちろん許可します」

母親とみられる女性(以下、母親)
「私は仕事をしているので、カミラが練習に行くと祖父が練習を撮影してくれ、家まで送り届けて一緒に自宅で過ごしてくれます。そのあと2回目の練習に行きます」

「該当の薬が私たちのところにあるはずがないと思い、祖父に確認したところ、祖父は人工心臓とのことでした。『トリメダジジンが手元にあるか』聞くと、折り返し連絡があり、実際にありました。薬を服用するのは(心臓の)雑音がした時で、常に携帯しているとのことでした。つまり、その薬から今回のことが起きたのだと思います」

「我が子をとても心配しています。私が電話をすると、落ち込んだ様子なのがわかります。彼女は不公正だと言っていました。『何も悪いことはしていない』とも言っていました。何かビタミン剤が不足したときには、入手したビタミン剤を『飲んでも良いか』と必ず確認していました。我が子の精神的状態は非常に悪く、練習も一部、休んでいるようで、個人戦の結果に影響します」

RUSADA
「祖父が該当の薬を処方されているという医療書類はありますか」

代理人
「祖父から送られたビデオがあり、そこに示されています」

RUSADA
「心臓が悪いと言うことですが、祖父は検査を受けていると思います。薬を処方した医師がいるはずです。求めているのは、処方されたことを示す書類です」

代理人
「薬が必要になった時、薬局などで自由に購入できます」

議長
「質問の主旨は、祖父が自分でその薬を選んだのか、医師が処方したのかです。祖父が薬を服用するのはなぜか、インターネットで調べたからなのかということです」

代理人
「私たちが聞いたのは、祖父は自分でその薬の服用を決めたということです」

RUSADA
「祖父は、どこにお住まいですか」

母親
「祖父はモスクワに住んでいます。私たちの家から約40キロほどのところです。祖父は、私が不在な時に毎日、カミラ(ワリエワ選手)を練習場まで送るためにやって来てくれます」

「同居はしていませんが、毎日送迎してくれます。練習場の方に尋ねていただければ毎日昼食時に見ていると証明してくれますよ。私が仕事で不在なので」

RUSADA
「その薬が、どのように選手の体内に混入するに至ったかという点を詳細にお願いできますか」

代理人
「いくつか可能性があります。例えば、祖父がコップを使用して薬を飲み、そのコップを選手が使用したというもの。別の可能性は、薬が何かの上にあり、そこに薬の成分が残り、それを選手が服用したというものです」

RUSADA
「祖父は毎日、服用しているわけではないのですよね」

代理人
「ビデオで、どのように祖父が服用しているかを供述しています。それを見るのはどうでしょうか」

RUSADA
「わかりました。薬はどこに保管されていますか。祖父の家か選手の家でしょうか」

代理人
「祖父はいつも携帯しています。その点も説明されています」

【放映されたというビデオの音声】
祖父
「2022年2月9日です。定期的に服用している薬について話します。車のダッシュボードの中に、このように入れてあります」

しかし――

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