【箱根駅伝】"人生をうたい上げる実況"のウラ側に綿密な準備とこだわりがあった! 実況担当・蛯原アナが語る
その箱根駅伝の実況担当23年目を迎えるのが、日本テレビの蛯原哲アナウンサー。5年連続で、先頭集団を実況する「1号車」を担当します。
蛯原アナはこれまで箱根駅伝の実況で「お父さんは普段厳しい人だが、大学3年でケガに苦しむなか帰省したとき『苦しんで走るくらいなら辞めて地元愛媛に戻ってきてもいい』と優しく言われたそうです。『自然と涙がでました』と振り返りました」「卒業後は熊本県の村役場に就職します。箱根は競技人生の集大成、同時にこれからの人生のスタートラインです」と、選手の人生までうたい上げる数々の実況を残してきました。
この実況のため、毎年独自の取材をして、情報をまとめているといいます。そこで見せてくれたのが「短冊」と呼ばれるお手製の実況資料。
登録選手など約350人を20人のアナウンサーが手分けして取材し、その情報から各アナウンサーが実況に使えそうなネタをピックアップして「短冊」を作成しています。
短冊には選手の1万メートルのタイムや出身地などの情報に加え、走りの特徴や大会への思いを記した"3行情報"と呼ばれる、細かい選手情報がぎっしり書かれています。
そのなかで蛯原アナが作る短冊には、ある特徴が見られます。
それは選手の家族や故郷の情報を盛り込むこと。
蛯原アナ「お母さんが作る山形県の郷土料理芋煮が大好き。これは他の後輩アナウンサーが見たら『蛯原さんそれを一番上に書くんだ』と思う人もいると思うけど、僕はこういうのが大好きです。故郷が山形、絶対山形のお母さんも見ている」
しかし、これだけ準備した資料も本番ではほとんど見ないと言います。
蛯原アナ「スタートの1区ですと、21 人がいきなり飛び出してくるので、もう(資料を)見ていられないですよね。なので、だいたい1月1日(本番前日)の夜に1区のランナーは名前を何も見なくても言えるように練習しています」
また選手の名前の呼び方についても「自分の家族だと、自分の息子だと思って名前を届けたいなと思って、名字だけじゃなくて名前も言えるようにしています」と、実況でのこだわりを語りました。
11月中旬から本格化するというアナウンサーたちの取材。2023年1月2日、3日に行われる第99回箱根駅伝では、往復14時間にも及ぶ生中継での実況にも注目です。