高校サッカー 準決勝に名勝負あり
第100回を迎えた全国高校サッカー選手権大会。日本一が決まる“決勝”だけでなく、その舞台を懸けた“準決勝”も、語り継がれる一戦ばかりです。そこで、前回最後の国立競技場での開催となった、第92回大会(2013年度)の準決勝の名勝負を、日本テレビ安村直樹アナウンサーが紹介します。
◇準決勝 第1試合
富山第一(富山)対 四日市中央工業(三重)
富山第一は藤井徹選手のゴールで先制しますが、四日市中央工業は中田永一選手の高校サッカー史に残る直接フリーキックで同点に。その後、富山第一は細木勇人選手のゴールで再びリードを奪うも、四日市中央工業は井手川純選手のゴールでまたも追いつきます。
迎えた試合終了間際、富山第一は、「PK職人」ゴールキーパーの田子真太郎選手を投入。国立競技場から大歓声があがるなか、田子選手は期待通りPK戦で見事なセーブをみせ、富山第一が決勝進出を決めました。
◇準決勝 第2試合
星稜(石川)対 京都橘(京都)
京都橘のエースで、大会注目度ナンバーワンの小屋松知哉主将に対して、星稜は平田健人選手が徹底マーク。その粘り強い守備に、国立競技場が何度もどよめきます。京都橘にはさらに、宮吉悠太選手や、中山俊輝選手、中野克哉選手など高い攻撃力を誇る選手が揃っていましたが、星稜はセンターバックの寺田弓人選手を中心に応戦。寺村介主将の得点などで、星稜が決勝へ。
そして決勝戦は、試合前からウェーブが起こり、4万8千人を超える観客が生み出す熱気のなか、大塚一朗監督の息子である大塚翔主将のPKで試合終了間際に追いついた富山第一が、延長後半終了間際にも村井和樹選手がゴールを挙げ、大会初優勝を飾りました。
なお、準決勝で、京都橘のエース、小屋松選手を徹底マークで抑えた星稜の平田選手は、累積警告のため、この決勝戦での出場は叶いませんでした。
しかし「準決勝で全てを出し切った。『平田のおかげで決勝に行けた』という仲間の声で救われた」と晴れやかな表情で語っていた平田選手の言葉は、今でも鮮明に思い出すことができます。
決勝の名勝負を前に、準決勝に名勝負あり。
その準決勝で輝く選手たちの姿を、心を込めて、実況させて頂きます。私にとっても、高校サッカー選手権大会は幼い頃からの憧れでした。
幼稚園から小学校卒業まで、三菱養和SC巣鴨や、キンダー善光SCでサッカーをしており、当時は、「球際には強いが、持久力に不安あり」というサイドバック。小学6年生の時に見た、第79回大会での長崎・国見高校の優勝。松橋章太選手のスピードと大久保嘉人選手の得点力は憧れでした。
中学校では、どうしてもラグビー部と大会の日程が重なってしまうため、泣く泣くサッカー部を諦めましたが、日本テレビ入社1年目から高校サッカーを担当することができ、10年目の今年、このような機会に恵まれました。
夢の国立競技場に辿り着いた選手の皆様に敬意を払い、決勝戦を懸けたひとつひとつのプレーを大切に追いかけさせて頂きます。
執筆:日本テレビ安村直樹アナウンサー