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中国に最年少「金」もたらした日本人コーチ 羽生選手に続き現地で人気急上昇

2022年2月19日 11:28
中国に最年少「金」もたらした日本人コーチ 羽生選手に続き現地で人気急上昇
佐藤コーチと蘇選手(写真:新華社/アフロ)

北京五輪のスノーボードで金メダル(ビッグエア)と銀メダル(スロープスタイル)を獲得した中国の蘇翊鳴選手。実は、この選手を指導してきたのは日本人コーチの佐藤康弘さんです。この佐藤コーチの人気が現地中国で急上昇。本人を直撃しました。

■中国の最年少「金」の生みの親

15日に決勝が行われたスノーボード男子ビッグエア。すでに7日のスロープスタイルで銀メダルを手にしていた蘇翊鳴選手(17)が金メダルを獲得し、中国中が歓喜に沸きました。

17歳での金メダル獲得は、冬季五輪では中国史上最年少の記録です。その快挙の生みの親として中国国内で人気が沸騰しているのが、日本人コーチの佐藤康弘さん(46)です。

滑走の前に佐藤コーチに抱きしめてもらうことがルーティンの蘇選手は、金メダル後の会見で「佐藤コーチとの出会いは運命的で、僕の人生を大きく変えた。最も信頼、感謝している」と話しました。

佐藤コーチは、今大会で蘇選手のほか、中国の栄格選手、日本の大塚健選手、岩渕麗楽選手、鬼塚雅選手も指導していて、国境を超えた「スノボ界のゴッドファーザー」ともいわれています。

中国メディアによる佐藤コーチの取材も相次いでいます。16日に中国国営テレビがニュースのウェイボー公式サイトに佐藤コーチのインタビュー動画を投稿すると、再生回数は一気に400万回近くに。すでに人気選手並みの注目度です。

また、ウェイボーでは佐藤コーチに関する複数のハッシュタグが出来ていて、「#佐藤コーチがインタビューに応えた」の閲覧回数はなんと、1億回を超えました。

■中国選手のコーチになったきっかけは?

佐藤コーチは18日、滞在先の北京市内のホテルで、日本テレビの取材にオンラインで応えてくれました。

「シャオミン(蘇選手の愛称)との出会いは7年ほど前。当時11歳で純粋にスノーボードを楽しんでいた少年は、僕が教えている健(大塚健選手)の滑りを見て憧れを抱いたようです。両親とともに直接、指導を依頼しにきました。シャオミンが14歳になった時、埼玉のジャンプ場で本格的に指導をはじめました」

さらに、中国国家体育総局(日本のスポーツ庁にあたる)の苟仲文局長からも中国選手の育成を頼まれていたと言います。

「苟局長の『手と手をつないで、アジアでいい関係を作りたい』という言葉に心を打たれ、オリンピックは国と国の対決だけど、それを超えた部分に僕みたいな存在がいてもいいと思ったんです」と当時の心境を振り返ります。

■「日本から来た先生が一生懸命、少年を応援…少年は国の英雄に」というストーリー

中国で人気が急上昇したことについて、佐藤コーチに聞いてみるとー

「『一人の少年が夢に向かって頑張っていた。そして、日本から来た先生が一生懸命、少年を応援する。最後に、少年は夢を実現し、国の英雄になった』というストーリーに中国の人々が感動したのではないかと思います。僕もとてもいいストーリーになったと思うので、正直に嬉しいです」

「スノーボードに国境はない」と話す佐藤コーチ。

「健(大塚健選手)もシャオミン(蘇選手)もいたからこそ、切磋琢磨できるので、これからも教え子たちと一緒に、いいストーリー作りをしていきたい」としています。