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【陸上・金栗記念】箱根ランナーが上々のシーズンイン! 三浦は専門外の1500mで日本歴代2位。田澤は5000mで日本人学生歴代6位

2022年4月10日 22:44
【陸上・金栗記念】箱根ランナーが上々のシーズンイン! 三浦は専門外の1500mで日本歴代2位。田澤は5000mで日本人学生歴代6位
1500m優勝の順大・三浦龍司選手(中央左)
4月9日、第30回金栗記念選抜陸上中長距離大会が熊本・えがお健康スタジアムで開催されました。箱根駅伝で活躍した学生ランナーも数多く出場し、好記録が続出しました。

■オリンピアンが「専門外」で優勝

昨年の東京オリンピック男子3000m障害7位入賞の三浦龍司選手(順天堂大3年)は、1500mに出場しました。

前日本記録保持者の荒井七海選手(Hоnda)や高校記録保持者の期待のルーキー佐藤圭汰選手(駒澤大1年)、さらに昨年の日本選手権5000mを制した遠藤日向選手(住友電工)といった顔ぶれがそろい、「圧倒的に格下だったので、スタートリストを見て怖気(おじけ)づきました」と三浦選手。それでも「1500mはスピードと瞬発力が求められる。そこがまだまだ自分の課題で、そこを磨いていかないといけない」と、専門の3000m障害で世界と戦うために、ハイスピードで展開される1500mに挑みました。

レースは、ペースメーカーが800mで外れると、1年生の佐藤選手が先頭に立ちます。しかし、ラスト1周の鐘が鳴ると、今度は遠藤選手が猛烈なスパートを炸裂(さくれつ)。三浦選手も2番手に浮上し食い下がります。しかし、遠藤選手はぐんぐんと引き離しにかかります。勝負は決したかに思われましたが、ホームストレートに入って、三浦選手はさらに加速。フィニッシュ直前に逆転し、0.1秒の僅差で優勝を果たしました。

記録も、専門外の種目ながら、日本歴代2位、日本人学生最高となる3分36秒59をマークし、大会MVPにも選出。今夏のオレゴン世界選手権に向けて、新年度の好スタートを切りました。

「オリンピックに出たからといって、海外の選手と総当たりしたわけではないので、まだまだ知らない世界のレベルがあると思う。チャレンジャーとしてやっていきたいです」と、三浦選手は今季の意気込みを口にしました。
■田澤選手も「本職ではない」種目で好記録

駒澤大のエース、田澤廉選手(4年)も圧巻のパフォーマンスを見せました。

10000mですでに今夏の世界選手権の参加資格を持っている田澤選手は、「自分の本職ではない」という5000mに登場しました。

同じレースにはリオデジャネイロ五輪3000m障害日本代表の塩尻和也選手(富士通)や東京五輪5000m日本代表の坂東悠汰選手(富士通)、さらに箱根駅伝でも競り合ったイェゴン・ヴィンセント選手(東京国際大4年)といった実力者も出場しました。

それでも「日本人トップを取るのは当たり前」と田澤選手は強気のレースを展開。3000mを過ぎて塩尻選手が後退した後も、実業団の外国人選手が形成する先頭集団に食らいつきました。

その後は、1か月後の目標レースを見据えて「疲労が残りそうな感じがあったので」と、あえて第2集団に位置取りましたが、田澤選手が「大学界の唯一のライバル」というヴィンセント選手とは激しい4位争いを繰り広げました。ラストスパート対決で敗れはしましたが、田澤選手は日本人学生歴代6位となる13分22秒63の好記録で、日本人トップの5位に入りました。

「最後、ヴィンセント選手に抜かされてしまったのは不満な点ですが、全体的には良かったと思います。そんなに追い込んだ感じもしていないので、良い刺激が入ったと思います」

初の世界選手権出場に向けて、弾みを付けるレースとなりました。

三浦選手、田澤選手ともに、最も得意とする種目ではなくとも、それぞれ学生歴代上位記録を塗り替える好記録をマークしました。今シーズンも圧巻のパフォーマンスを見せてくれそうです。

■相澤選手&伊藤選手のデッドヒート再び

男子10000mでは、2020年の第96回箱根駅伝の2区で激闘を繰り広げ、共に昨夏の東京オリンピック代表に駆け上がった相澤晃選手(旭化成、東洋大OB)と伊藤達彦選手(Honda、東京国際大OB)が、またしても熾烈(しれつ)な勝負を見せました。

残り2周を切って先に仕掛けたのは相澤選手でしたが、伊藤選手も食い下がります。ラスト1周の鐘が鳴って、今度は伊藤選手が仕返し。優勝はエバンス・ケイタニー選手(トヨタ紡織)に譲りましたが、伊藤選手は100分の2秒差(27分42秒48)で2位、相澤選手は5位に入りました。

両選手ともラスト1周まで余裕を持ってレースを進めており、上々のシーズンインとなりました。伊藤選手、相澤選手に、田澤選手も加わる日本選手権10000mは、さらに激戦となりそうです。