【赤星解説】セ・リーグ後半戦は、この選手に注目! 独自目線で厳選
【ヤクルト】塩見泰隆選手(29)・サンタナ選手(30)
――ヤクルトのキーマンは。
これ2人挙げていいですか。塩見と、サンタナですね。塩見くんは去年、結果をある程度残して今年真価を問われたシーズンだったんですけど、出塁率が非常に高いんですよ。だから(4番)村上くんの打点が増えてるのかなというのがあるので、後半戦、塩見くんの出塁が増えれば増えるほど、村上くんが打点を稼げるでしょう。
もう1個。5番を打つバッターが(試合の)後半いないと村上が勝負してもらえなくなるんですよね。 だからサンタナ選手が活躍すればするほど、ヤクルトの打線はつながるかなと思います。
あと、塩見くんの状態が上がってくれば、得点力は日に日に上がっていくのかなっていう気がするので、よりピッチャーが楽になると思うんですよね。今、村上・サンタナの前を打つ打者が出塁できていないので、いかに1~3番が出塁して村上・サンタナで返すパターンに復調できるかがポイントだと思います。
※14日の試合では、1番に山田哲人選手・2番にサンタナ選手を起用し連敗を7で止めた。
――ちょっと最近ピッチャーの疲れか、点を取られてるケースが見受けられます。
これまでであれば、それでも打撃陣でカバーできるっていうのが強みだったと思います。ピッチャーは、年間通していい時もあれば悪い時もあって、蓄積疲労は多少なりとも残ってると思います。今は打線か投手陣か、どちらかが頑張りきれるか。こらえどきだと思います。
――神宮球場は暑さも大変ですね。
やばいですよ。屋外球場のチームというのは、そこが戦いの一つなんですよ。セ・リーグで言ったら、東京ドームと名古屋ドーム(バンテリンドーム)以外は屋外球場なので、横浜・阪神・広島・ヤクルトは、夏にどう練習をするかがすごくポイントなんですよね。僕も阪神にいた時、夏場は昼間の練習を極力少なめにしたりもしてたんですよ。ドームでやってるチームは打ち込みも多分できるでしょうし、それはずっと「いいよな」って思ってましたね。特に(神宮)は人工芝じゃないですか。だからダブルなんですよね。足の負担、暑さと。やっぱり本拠地をどこにしてるかは、優勝する上で左右する部分です。
――高津監督の采配は。
若い選手が出てきてるじゃないですか。 キャッチャーの内山くんとか。中村という絶対的なキャッチャーがいて、彼のおかげで去年優勝できたようなものだと思ってますけど、最初スタートの時ちょっとケガとかでいなくて。若いキャッチャーで序盤を乗り切ったのは、若い子たちにとってはすごい自信になってると思います。
高津監督は主力と若手の使い方がうまいですよね。1試合使って次の日外すとかではなくて、1回出して結果出したらその次の日もちゃんと使うんですよね。粋に感じるような選手起用をする高津監督の手腕はすごいなと思いますね。
【DeNA】オースティン選手(30)
――DeNAのキーマンは。
牧選手は2年目にもかかわらず、ここまで十分な成績を残していると思うんですけど、オースティンが(ケガから)戻ってきたじゃないですか。これ結構大きいんですよね。牧も前半見てると、勝負所で際どい所を攻められてアウトになったりとかが、だんだん増えてきてて。
前後を固めるバッターがしっかりしてくるといいんですよね。佐野がいて、宮崎がいて、オースティンがいると、牧への負担はすごく減ってくるんですよね。
打線ってクリーンアップがすごく大事なんですけど、チャンスメイクする側と、それを返す主軸の後ろを打つバッターがいる。
だから僕は、6番バッターとかをすごく大事に思ってて、6番とか5番を誰が打ってるかによって全然打線のつながりって変わるんですよね。 そういうことを考えると(オースティン選手がスタメンに起用されるようになれば)3・4・5・6番でかなり厚みを増してくるので、横浜はすごく楽しみですよね。
――牧選手のすごさについて。
なんだろうな、落合(博満)さんみたいな雰囲気を持ってますよね。 広角にあれだけ打つのは、まねしようと思ってもできないんですよね。インコースのさばき方とか、天才的なバッティングをするんですよ。 こうやってやるんだよとか、こうするんだよじゃなくて、多分、自然とやってしまうのが牧選手のインコース打ち。右方向に打つバッティングも、教えられてできるものではない気がするんですよね。
日本の右バッターでインコース打ちが天才的なのは、(巨人の)坂本と、牧。でも、牧のインコースの打ち方は、坂本ともちょっと違うんです。坂本はどちらかと言ったら、前の肘を抜きながら打つ。牧は、後ろの肘もうまく使ってるというか、とっさにたたんでうまく芯に当てる。ヘッドが返らないんですよね。去年からそういうバッティングを見せてましたけど、今年見ててもより進化してます。
あと、比較的今年は後ろのピッチャーが頑張っているんですよ。いつもピッチャーは、苦しんでるんですけどね。 山崎康晃も頑張ってますし、エスコバー含めて、全然去年よりいいんですよ。僕一番怖いの横浜だと思ってます。
【巨人】戸郷翔征選手(22)
――巨人のキーマンは。
僕8月3日に解説させてもらったんですけど、戸郷はいいですね。気持ちが入ってる。去年までの戸郷とはちょっと違いますよね。去年までは淡々と投げてる感じがあって、2年連続で9勝止まりなんですね。だけど、明らかに去年までとちょっと違う。去年までは菅野さんがいて、その後ろみたいな感じだったと思うんですけど、このチームを俺が背負わなきゃ駄目なんだ、エースにならなきゃ駄目なんだって(思っている)ように見えましたね。
その日もフォアボールから(送りバントで)送られて、センター前で1点先制されて嫌な点の取られ方してるんですよね。でも、戸郷がすごかったのはこれ以降です。去年までだと、こういう時にズルズルいくタイプだったんですけど、いかないんですよね。
逆にミスしたからこそ、配球を考えながら絶対これ以上点を与えないみたいな。表情も変えないですよね。その表情を出さないというのも、僕的にはいいのかなって思います。悔しいと思うんですけど、(エースになるために必要とされる)強さというか、それが6・7・8回のピッチングにつながってました。
あと、(チームとして)何とか点を取らなくては戸郷に申し訳ないという気持ちがあったと思うんです。それが攻撃につながってると思うんですよ。 戸郷のピッチングが、(翌日登板の)山崎伊織投手に影響を与えてるのは間違いないと思うんです。
(5年目の)村上がチームの柱になってるように、(4年目の)戸郷が投手陣の柱になっていかないと。今の巨人はチームが変わりつつあるときだと思うんで。特に投手陣は大事ですよね。
※巨人は後半戦、若手投手の活躍も目立つ。
8月4日 山崎伊織投手(23)8回無失点で勝利投手
5日 堀田賢慎投手(21)7回1失点で勝利投手
10日 戸郷翔征投手(22)8回1失点で自身初の10勝目
11日 山崎伊織投手(23)6回1失点で4勝目
13日 直江大輔投手(22)6回無失点でプロ初勝利
【広島】小園海斗選手(22)
――広島のキーマンは。
僕はずっと(ショートの)小園選手に期待をしてます。守備もうまくなってる。それと、このチームは長打が打てるバッターが少ないので、アベレージヒッターが必要になってくると思います。小園は、そういうものを持った選手だと僕は思ってます。秋山とか菊池が調子いいので、小園が本来であれば1番(を打ってほしい)。彼が後半、2割8分・3割近くまで(打率を)上げると、打線自体はつながり始めるかなと思います。
――メジャーから帰ってきた秋山選手加入の効果は。
いろいろな効果がありますよね。日本であれだけの記録を残したバッターなわけですから。小園とかも秋山のバッティングは、相当参考になると思うんですよ。そういう意味でも大きいと思うし、秋山くんって本当に野球に対してストイックという話を聞いてますけど、そういう刺激も間違いなくあると思うんですよね。だから秋山選手の加入で、チームに攻撃力とか守備力とかのプラスアルファは間違いなくあると思うんですけど、それ以外のプラスアルファもかなりある選手ですよね。
カープって、黒田さんだったりメジャーに行って帰ってきたりした選手も結構いて。そういう選手を最近必要としてとってるチームですよね。 今回、秋山をとりに行ったときに今(チームとして)何が必要なのかをカープはすごい考えてる。今の若手選手たちをどう伸ばすかという中で、秋山選手が必要だったんだなって思いました。
そのメッセージが伝わって、秋山はカープを選んだのかなって思います。(秋山選手がいると)多分すごくチームが変わると思うんですよ。メジャーも経験したというのは、間違いなく生きると思いますね。
【中日】岡林勇希選手(20)
――中日のキーマンは。
1人応援している選手がいて、岡林という選手。絶対出てくると思ってました。中盤になって打率上げてきてるんですよ(15日時点で2割8分1厘)。ドラゴンズにとって若い外野手が出てきてくれたのは、この先を見据えてすごく大きい。立浪監督が、今年は岡林を我慢して使うとおっしゃっていて、根気よく我慢して使ってくれたんですよね。それに応えるように、打率上げてきてます。
高卒で入ってきて、一番の問題って体力なんですよね。1年フルで戦うのは初めてだと思うので、相当しんどい時期もあったでしょうし。その中で、この終盤に(成績を)上げてこられるのは、何かつかんだのではないかなっていうのがあるんですよね。
岡林は3割打てるバッターだと思ってますし、岡林選手が今年最終的に成績を残せると、来年以降における中日の明るい未来につながるかなって思います。
このチームは、どちらかというとピッチャー中心に守りながら点を取るチーム。その中で、打線のキーマンとして岡林・大島が頑張ってなんとか得点圏に進んで点を取るような、しぶとい野球ができればまだチャンスあると思うんですよね。
セ・リーグ各球団の貯金数推移
8月に入り、首位ヤクルトは7連敗含む3勝7敗。依然首位をキープするも、最大28あった貯金も17となっています。
一方、DeNAが阪神相手に3連勝するなどして2位に浮上。
巨人も若手選手の活躍などで、8月は勝ち越し。現在3位につけています。
また、月初に2位だった阪神は、主力選手らが新型コロナに感染した影響などで大きく負け越し。一時完済した借金も3になり、順位も4位に沈んでいます。
広島は5位。中日は借金10で最下位です。
※阪神の注目選手などについては、別記事で配信します。