羽生結弦「右足の感覚ない状態でやっていた」 “涙をこらえ”、荒川静香の取材に「全部の物語を演じ切れた」
◆北京五輪・大会7日目(2月10日)、フィギュアスケート男子シングルフリー
五輪3連覇を狙った羽生結弦選手は演技冒頭で、4回転半ジャンプの「4回転アクセル」に挑戦。公式戦で誰も成功させたことがない最高難度のジャンプに挑戦するも転倒してしまいました。
その後の4回転サルコウも転倒し、演技序盤のジャンプを連続で失敗します。それでも、以降のジャンプやステップは完璧にこなしてショートプログラム8位から4位に順位を上げ、3度目の五輪を終えました。
【男子シングル結果】
金メダル ネイサン・チェン(米国)
SP113.97 FS218.63 合計332.60
銀メダル 鍵山優真
SP108.12 FS201.93 合計310.05
銅メダル 宇野昌磨
SP105.90 FS187.10 合計293.00
4位 羽生結弦
SP95.15 FS188.06 合計283.21
羽生選手を、日テレ系五輪メインキャスターの荒川静香さん(トリノ五輪金メダリスト)が取材。直後の心境に迫りました。
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荒川さんが、「お疲れ様でした。北京五輪までの道のり色々な思いがあっての…」と話すと、羽生選手は、「あ~、ちょっと待って」といい壁に寄りかかります。
「し~ちゃん(荒川さん)の顔みたらいけなかったな」と、数秒涙をこらえた後、「よっしゃ!はい!」といってインタビューに応じました。
――色々な思いがあってのこの五輪だったと思います。どんな思いで戦いましたか?
「いや~正直悔しいですよ、それは。なんで報われないのだろうなと思いながらこの3日間過ごしていました。すごく努力したし、苦しかったし、その苦しさがここで報われたかどうかはわからないですけど、正直。でも勝敗としては自分が目標としていたものではまったくないですし、正直何も残せなかったと、ちょっと思っていますけど。でもみなさんのなかで勝敗関係なくやっぱ羽生結弦のスケートよかったなと、ちょっとでも思ってもらえる瞬間があったら、それだけで今日頑張って滑った意味があるのかなって思っています」
――守るものがたくさんある中、挑戦という形でのこの五輪。4回転アクセル練習見ていたなかでも一番いいんじゃないかなっていうものが試合で出たように思いますが、4回転アクセルに関しての挑戦はいかがですか?
「本当に、やっぱり試合たのしいなって思いますね。アドレナリンがすごく出ていたし、もちろん、もう右足の感覚ない状態でやっていましたけど、でもだからこそ出来たのかなって思いますし、本当に体のケアも含めて色々な方に力を頂いてそしてたぶん色々神様にもお力を頂いて、やっと僕のあの演技があったと思うので、本当みなさんに感謝したいです」
――最後までこん身の演技でした。思いを注ぎ込むことできましたか?
「あのふたつの失敗があってあの4回転半(4回転アクセル)があってだからこその「天と地と」なのかなって思っています。最後までぼろぼろじゃなくてちゃんと滑りきって全部の気持ちを全部の物語を演じ切れたなって思っています」
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最後に、荒川さんが「この大きな挑戦、ぜひ自分のことを褒めてあげてください」と話すと、羽生選手は大きな笑顔を見せました。
そして「自分では褒められないけど誰かに褒めてもらいたい」と、さらに大きな笑顔を見せた羽生選手。“笑って”取材を終えました。