トランスジェンダーの選手の大会参加は「女性として生まれた選手にとても失礼」とオリンピアンが公開書簡
アメリカで行われた競泳の全米大学選手権で、トランスジェンダーのリア・トーマス選手が女子500ヤード(約457m)自由形で優勝しました。
リオ五輪出場経験のあるレカ・ジョルジュ選手は同じ種目に出場していて、NCAA(全米大学体育協会)に対し、「女性として生まれた選手にとても失礼だ」などと書いた手紙を自身のインスタグラムで公開しました。
手紙ではまず、トーマス選手を尊重していて、彼女が競技のために払ってきた犠牲や努力は、自分たちが支払ってきたものと変わりはないと、前置きしています。
「この手紙を書いているのは、NCAAに目をしっかり開けて、物事を見て、将来的にルール改正をしてほしいと思っているからです。今の現状は、私たちのスポーツをいい方向に発展させているとは思えません。生物学上、女性として生まれた選手にとても失礼だと思います」
トーマス選手は2018年シーズンはペンシルベニア大学の男子競泳選手として試合に出場。20年はホルモン治療を受けながら、男子の試合に出場することを選んでいましたが、21年からはNCAAの規定で、女子の大会に出場することが可能になっていました。
ジョルジュ選手はトーマスが優勝した女子500ヤード自由形の予選で17位。準決勝に上がれる16位に入ることができず、予選敗退となりました。ジョルジュ選手はトーマス選手がいなければ、自分は準決勝に進めていたのでは、と疑問を投げかけています。
「今後、トランスジェンダーの選手が(女子の大会に)出場するたびに、生物学上女性として生まれた選手から競技枠を奪っていくのです」
NCAAでは2022年冬から、トランスジェンダーの選手について、女子の大会に出場するためのテストステロン(男性ホルモン)の数値をより厳しく定めるなど、新しい規定を作っていますが、今後も議論は続きそうです。