【図解】サーフィン・パリ五輪代表選考 松田詩野・五十嵐カノアが内定 これに続くのは?
■男女それぞれ最大3枠を狙えるパリ五輪
各国の出場枠は男女それぞれ2枠まで。ただし、2022年・2024年のISAワールドサーフィンゲームズ(世界選手権に相当。以下WSG)で団体優勝をすると、その国に対して出場枠が1つ与えられ、最大3枠となります。
日本は2022年に男子が団体優勝を果たし+1枠の最大3枠が使える状態。女子も2024年のWSGで団体優勝をすれば、最大3枠となるチャンスがあります。
■個人の選考プロセス
※前提となる出場条件:それぞれの国内連盟によって代表チームに選ばれた全てのサーファーは、オリンピック出場資格を得るために、2023年と2024年のWSGに参加する必要がある
1―2023年WSLチャンピオンシップツアー(以下CT)で男子は10位以内、女子8位以内に入ること。
この世界最高峰の年間ツアーに参加できるのは世界のトップ選手30人ほどで、日本からは五十嵐カノア選手が唯一参戦。7月・8月の残り2戦でランキング10位までが決定します。
2―2023年WSGで大陸別に選出された男女各4名。(アフリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニアの男女最上位のサーファー ※アメリカ大陸は別大会で男女1名ずつが選出)
既に6月7日に大会が終了。アジア女子最上位の松田詩野選手(全体13位)、アジア男子最上位の五十嵐選手(全体4位)がこれに該当し、パリ五輪出場に内定しています。
ただし、五十嵐選手が1で出場権を獲得した場合、この枠に関して、アジア男子2位の稲葉玲王に出場権が移ります。つまり、この時点で日本男子の出場枠は最大の3枠まで使用できることになります。
※アメリカ大陸は別大会で男女1名ずつが選出
3―2024年WSGの男子1位~5位、女子1位~7位
2024年2・3月にプエルトリコで行われるこの大会がパリ五輪最終予選となります。(既に出場が決まっている選手や最大枠を超えたNOCの選手を除いた順位)
4―2024年WSLの男女別の優勝チーム。
1国2名の枠に関係なく、それぞれのNOCに1名ずつ出場権が与えられ、その枠をどの選手に使うかはそのNOCが独自で決められます。
5―2022年WSLの男女別の優勝チーム。
1国2名の枠に関係なく、それぞれのNOCに1名ずつ出場権が与えられ、その枠をどの選手に使うかはそのNOCが独自で決定。→この大会で団体優勝し、この枠を獲得した男子日本代表は最大3枠となりました。この1枠をどの選手に充てるかは日本サーフィン連盟が決めることができます。
■女子注目は―代表内定第1号・松田詩野&東京五輪銅・都筑有夢路
まずは、全競技通じてパリ五輪日本代表内定第1号を決めた松田詩野選手。一度は内定も出場が叶わなかった東京五輪や、昨年4月は肩の手術など、苦難を乗り越えてパリへの切符を手にしました。チョープーの波は初挑戦になる松田選手は、「1年前に内定したことで練習ができる」と、パリ五輪に向けて現地での強化練習に力を入れます。「小さいときからサーフィンの魅力をたくさんの人に伝えたいという気持ちは変わっていない。それを一番伝えられるのがオリンピックという舞台。メダルを取るという形で伝えられたら良いなと思います」と話しています。
東京五輪で銅メダルに輝いた都筑有夢路選手は連続出場・メダルに期待がかかります。2021年シーズンにはCT(世界最高峰の年間ツアー)で戦うなど、実力はトップレベル。現在はその1つ下のカテゴリー(チャレンジャーシリーズ)で戦い、日本女子最上位の25位。最終予選のWSGで上位に食い込み出場権を勝ち取った東京五輪に引き続き、パリ五輪も2024年WSGでの出場権獲得を狙います。
■男子注目は―東京五輪銀・五十嵐カノア&チョープーに有利なグーフィーフッター稲葉玲王
波乗りジャパンを率いるエース・五十嵐カノア選手の優勝もあって、日本男子勢は2022年WSGでパリ五輪出場枠を最大3枠としています。
6月のWSGでは絶好調で全体4位。松田詩野に続き、日本代表内定第2号となった五十嵐カノア選手。内定について「東京五輪でのあの素晴らしい瞬間の記憶がたくさん残っています。オリンピックは僕の人生を変えました。僕にとって大変価値あることです」とコメントしました。
日本勢で唯一世界最高峰のツアー・CTで戦う五十嵐選手は、8戦まで終わった現在17位。昨年は5位の成績を残しており、今年のランキング10位以内で出場権獲得をすれば、2023年WSGで五十嵐に次ぎアジア2位となった稲葉玲王選手が出場内定となるため、仲間のためにも残り2戦でランキング10位以内に入りCT枠での出場権獲得を目指します。パリ五輪に向けては「東京五輪では銀メダルですごい悔しかった。パリオリンピックに向けてステップアップして、金メダルとることが目標」と話しています。
6月のWSGでは8位の成績を収め、4位の五十嵐選手を追随した稲葉玲王選手。日本は自由に選出できる男子の出場枠を一つ持っていることもあり、条件的にいえば、稲葉は限りなく代表内定に近い選手と言えるかもしれません。また、チョープーの波は岸に向かって右から左へ進む特徴があり、グーフィーフッター(右足が進行方向側になる乗り方)に有利といわれています。巨大な波を扱うパワフルなライディングと、グーフィーフッター(右足が進行方向側になる乗り方)という強みをもつ稲葉は、タヒチ・チョープーでの活躍も期待されています。
タヒチ・チョープーの波は進行方向が決まっている。巨大な波は5mを超えることもめずらしくない。
■今後の主な大会
<CT(チャンピオンシップツアー)>
第9戦(Corona Open J-Bay、南アフリカ):7月12日~22日
第10戦(SHISEIDO Tahiti Pro、タヒチ):8月11日~20日
⇒五十嵐カノアがランキング10位以内に入れば、稲葉玲王も内定
2024年ISAワールドサーフィンゲームズ(最終予選、プエルトリコ):2月22日~3月2日
パリ五輪(タヒチ・チョープー):2024年7月27日~30日