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横綱白鵬 震災10年 親子と特別な再会

2021年3月6日 1:26
横綱白鵬 震災10年 親子と特別な再会

横綱・白鵬は東日本大震災後、被災地10か所を巡って炊き出しを行い、被災者を励まし続けてきました。大きな被害を受けた岩手県・山田町には震災から3か月後に撮られた1枚の写真があります。

横綱・白鵬と写っていたのは、震災の9日前に生まれた佐藤真士くんと父・哲也さん。あれから10年、あの時赤ちゃんだった真士くんは一生懸命相撲の稽古に励んでいます。

相撲を始めるきっかけは「お父さんにやらされた」と話す真士くん。真士くんに相撲を取ってほしいと哲也さんが願ったのにはわけがあります。

もともと山田町は、ちびっこ相撲が盛んな地域。哲也さんも小さい頃から相撲に親しみ、震災前は子供達に相撲を教えていました。海のそばには東北大会も行われた立派な土俵がありました。

しかし、震災の津波で跡形もなく流されてしまいました。これを知った横綱・白鵬は、「当時力士会会長を務めた頃に、東北の子供達、そしてそこで相撲をやっている子供達を支えていきたい、応援していきたいと言う気持ちで、山田町そして気仙沼、福島・会津若松に3つの土俵をつくることができました」と振り返ります。

震災の1年半後に白鵬ら力士会から山田町へ寄贈された土俵。しかし、この土俵はしばらく使われませんでした。被災の影響が大きく、山田町のちびっこ相撲の活動が途絶えてしまったからです。

「当時、山田町には小学生で相撲を取る子がいなかったんですよね。親の思いを汲んでもらえるのは息子かなと思い、一応声をかけてみました」と哲也さん。

「あの時、白鵬に励まされた自分達が山田町のちびっこ相撲を蘇らせなければ」、そんな思いで親一人、子一人の活動が始まりました。すると、真士くんの友達や下級生も参加し始め、今では11人ものちびっこ力士が一緒に稽古をしています。

夏には再建された土俵で練習も行われ、真士くんも土俵に立ちました。「白鵬とか力士が建てた土俵だからすごいなと思う。立派で、別に痛くないから相撲も取りやすい」。今回のリモートインタビューでは佐藤さん親子にサプライズがありました。それは、横綱・白鵬と10年ぶりのご対面です。

※以下、哲也さん、真士くん、白鵬、弘竜太郎アナウンサー=弘とします。(敬称略)

まずはこっそりインタビューをのぞき見する横綱・白鵬。


「白鵬関に何かこう伝えたいことというのは、あったりするかな」

真士くん
「白鵬関がもう一度山田に来て相撲の稽古をしてほしい」


「今日はなんとお二人にとあるスペシャルゲストの方が来てくださっているんですよ。スペシャルゲストの方、こちらです!」

哲也さん
「おー、どうも始めまして」

白鵬「こんにちは」

哲也さん
「あ、始めましてじゃねーんだ。お久しぶりです」

白鵬
「こう喋るのは初めてですね。お父さん本当に土俵を守ってくれてありがとうございます」

哲也さん
「いえいえいえ」


「真士くん、横綱だよ。白鵬関だよ」

真士くん
「・・・」

哲也さん
「緊張するよな」


「白鵬関、緊張してます。真士くんが」

白鵬
「私も緊張してます」


「あの時、山田町に行ったことはまだ覚えてらっしゃいますでしょうか」

白鵬
「ちょうど6月ですね。協会全体みんなで慰問に行くっていう形で行ったんですね。そこで山田町訪ねた時に抱っこしたんですね。ぜひ今年は山田町に行って相撲教えますから続けててくださいよ」

真士くん
「嬉しいです」

小柄な力士・真士くんへ、横綱・白鵬からアドバイスが。

白鵬
「当たって相手の顎の下に頭をつけるってことですね。そうすると大きい相手が力出してもその対応できるし」

哲也さん
「参考というか、ためになります」

白鵬
「私も最初は小さかったんですよ。入門した時、体重62kgしかなかったんですよね。牛乳よく飲んでましたね。牛乳1日5リットル飲んでましたね」

真士くん
「毎日は飲んでるけど、そんなには飲んでない」

白鵬
「実は横綱もね、最初は強くなかったんですよ。負け越しからのスタートですからね。だから負けても負けても勉強になるしね。今度ぜひ会った時に色々、教えます。これあの私のトレーナーが出した本で、これ本当に全部ちゃんと読んで覚えていけば必ず強くなれます。この本を真士くんにプレゼントします」


「真士くん。何かこう白鵬関にメッセージなんてあったりするかな」

真士くん
「春場所でもいっぱい倒して、これからも頑張ってください」

白鵬
「ありがとうございます。頑張ります。もうこれからも長い付き合いになると思うし、その中で真士くんがもし興味あったら宮城野部屋に入門、よろしくお願いします!待ってます」


「ありがとうございました。どうでしたか。サプライズ白鵬関登場」

哲也さん
「まさか会えるとは思いませんでしたね。本当にびっくりです」

真士くん
「嬉しかった」