負ければ引退の福岡「記憶に残るプレーを」
医学の道に進むため、今シーズン限りで引退する、ラグビー元日本代表、パナソニックワイルドナイツ所属の福岡堅樹選手(28)が日本テレビのインタビューに応じ、今の思いを語りました。
トップリーグでは、8日のキヤノン戦で約80メートルの独走トライを決めるなど、8試合で10トライをあげる大活躍。その一方、今年2月には医学部に合格。夢だった医者を目指すため、4月から順天堂大学医学部に通い始めました。
福岡選手は「(授業は)半分リモートという形。対面の授業も週3日はあります」「1年生でも本当にいろいろと、教養だけじゃなくて、医学の基礎の部分も授業として入ってきているので、かなり忙しくさせてもらってます」と語ります。
その勉強時間は「多い日だと、授業自体が朝9時から18時過ぎまであるので、8時間以上はあると思います」とかなりの長時間。福岡選手が住んでいるのは、練習拠点のある群馬県太田市。対面授業の時には、片道1時間半以上かけ、東京・御茶ノ水のキャンパスに車で通っています。
その生活サイクルについて「自分の中でもこのサイクルは、今までの中でもハードな方かなと思っています」と語る福岡選手。そこで勉強とラグビーの両立を助けてくれているのは、年下のクラスメートだと言います。
「それこそ自分がラグビーで(授業に)出られない時も、(クラスメートに)ちょっと協力をしてもらったり、本当にすごく助けられています」「9こ下、10こ下の方がたくさんいて、本当に感覚が違う部分もたくさんあるので、そういうところはすごく新鮮に感じながら、みんなで一つのチームとして頑張りたいなと思っています」
そんな忙しい日々の癒やしは、昨年10月から一緒に住む、猫のチャド君。現在、生後9か月で「もうどんどん大きくなって。今じゃ来た時の4倍ぐらいまで大きくなって。成長がすごく楽しいですね」
これから6年間、医学部に通う福岡選手。気になるその間の収入について福岡選手は「基本的にプロではなくなるので、ラグビーの収入はもちろん無くなります。そのことを考慮して、しっかりと貯金をしてきた。もちろん、空いた時間をうまく使ってラグビー関連であったり、イベント事であったり、何かラグビーに貢献する部分でもやれたらいいなと思っているので、そういうところで少しずつ収入も得られたらいいかなと思っています」
5歳から始め、今年で24年目となったラグビー人生。福岡選手にとって、特別な試合は「ワールドカップスコットランド戦というのは、僕の中では間違いないかなと思います」と語ります。
日本中を熱狂させた2019年のラグビーワールドカップで、日本代表が史上初のベスト8進出を決めたスコットランド戦。福岡選手はこの試合、自慢の快速で2トライを奪いました。
「自分たちの目標であるベスト8を手にすることができたのは、本当にもう言葉にできないぐらいの喜び、達成感があったので、本当に今までの試合の中でも最も特別な試合だった」と振り返ります。
福岡選手は、この試合直後のインタビューで「この時のために、全ての時間を犠牲にして、この勝利のために頑張ってきたのでもう本当に最高です!」と思いあふれるコメントをしていました。
この時のコメントについては「ちょっと言い訳させてほしいんですが、あの時やっぱり声を張らないと、自分自身の試合で80分声を出して、枯れている部分もあって、観客の声もすごいので、声を出さなきゃいけないという部分があって、本当にもう言葉がどんどん出てきちゃうというか、周りからもいろいろといじられたインタビューだった」と振り返ります。
さらに、大会が終わっても特別な光景が。「ワールドカップが終わって、パレードをさせてもらったんですが、あれだけたくさんの人がラグビー日本代表を見に来てくださって、本当にこれだけの人に応援されてたんだ。やっぱり本当によかったなと。これまでやってきてよかったなと思いました。あの光景は自分の中でも、すごく特別なものです」
そんな福岡選手には、一つやり残したことがあるといいます。「僕自身、パナソニックワイルドナイツに入って一度も優勝ができていない」「決勝に行った時に2試合、負けた試合っていうのは、どちらもすごく悔しかったのを覚えています」
現在、負ければ終わりのトップリーグ・プレーオフトーナメントでベスト4まで進んでいるパナソニック。残すは準決勝と決勝の2試合です。福岡選手は「負ければ自分自身も引退が決まる状況でもある中で、後悔のない笑顔をもって終われるように、みなさんの記憶に残るような、素晴らしいプレーができるように全力で臨みたいと思うので、今後とも応援よろしくお願いします」と力強く語りました。