内村航平 東京五輪へ「一つ一つ全力で」
体操男子の東京五輪代表内定選手が、24日にリモートで会見を行いました。
個人枠の鉄棒で代表の座をつかんだ内村航平選手(32)は、「目の前の試合一つ一つを全力でやるというのは変わっていない。このチームで新しい歴史に名を刻めるような演技だったり名場面を作っていければ」と自身の考えを語りました。
※以下、会見の主な内容
■合宿はいい雰囲気
――合宿が始まってどのような状況か
僕以外は全員五輪初めて。初めてにしてはいい雰囲気で、みんなできているかなと思います。
――どのような部分で感じたのか
チームの練習とか見ていると、平均年齢も若いですし勢いもかなりある。すごく僕もそれに刺激を受けて負けないように練習をしているつもり。若い勢いというのが、すごくチームとしてまた合宿全体としていい雰囲気だなと。
■4大会連続出場は「心の底から体操が好きな人」しか到達できない領域
――4大会目の出場は体操では小野喬さん以来2人目(※小野喬さん:1952年のヘルシンキから1964年の東京五輪まで4大会連続出場。ローマ・東京大会では団体で金メダルを獲得)
史上2人目ですからね。過去にいたというのはちょっと悔しいという気持ちはありますよね。4大会出るというのは「大変」以外に言葉が出ない。「よくやってきたな自分」という感じですよね。
4大会出る人は、「本当に諦めの悪い人」「心の底から体操が好きな人」しか行き着くことができない、到達できない領域なんだろうなと思います」
■ここ5年で味わった挫折
――リオ五輪が終わってからどのような5年間だったか
僕が2008年から日本代表として日本を引っ張ってきて、初めての挫折を味わった5年間。2008年からリオまで自分が思い描く通りにすべてうまくいっていた。練習も結果もそれなりに出すことはできたが、この5年間はそこがまったく思うように体は動かなくなった。
リオで2つ金メダルを取ったことですごく自信になった。でも実際、現実はそんなに甘くなくて、年齢の壁もあった。結果を残したことへの自分が感じていないところでのプレッシャーもあった。そういうのをすべて乗り越えたというか、そういった5年間だったかなと思いますね。
――どうしてその挫折を乗り越えることができたのか
2017年から2019年の年末までは、ずっと苦しかったというかキツかったですね。2017年の世界選手権で足をケガして、2018年もまた足をケガして、2019年は肩がダメでそれから鉄棒に絞ったという流れ。
この年齢で新しいケガをすると戻すには時間がかかる。練習しないといけないのに、その練習がダメージになってしまっていた。だから鉄棒に絞るという選択をした。鉄棒に絞ってからすごく視界が広がったというか「本来こういうふうにやるべきだったんだな」とそこで思いましたね。
これだけオールラウンダーとしてやり続けてきて、「6種目やってこそ体操」と自分が言っていたことがすごく呪縛になっていた。やらないといけないんだという感じに自分がなっていた。
だからここ3年間それが邪魔していたのかなというのはすごくあって、そのプライドを捨てるのが怖かったし、すごく勇気がいりました。そんな5年間でした。
■東京五輪へ
――残り1か月どのようなところに重点を置いて練習する予定なのか
演技自体は完成しているので、あとはどれだけ試合当日にいい状態で臨めるか。ピークを試合の日に持っていくことが、一番重要じゃないかなと思っています。
――いまの東京五輪への気持ちは
もう4回目なので、特に特別な何かに向かうというよりかは、目の前の試合一つ一つを全力でやるというのは変わっていない。特にいまも状態としては、五輪にも向かっているというよりかは、目の前の一つの試合に向かってやっているという感じ。
――チーム、個人の目標は
最初のミーティングで、同じ東京なので64年を超えられるような大会にしようとは言われました。
僕個人的な意見としては、1964年の東京はそのときの東京だし、2020の東京は2020の東京にしか出せない。64年を超えられればもちろんすごいこと。そこを超えるというよりかは、このチームで新しい歴史に名を刻めるような演技や名場面を作っていければいいんじゃないかなと思っています。