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「いいチームはつくれたかな」阪神・矢野燿大監督退任会見 時折声詰まらせ感謝の言葉述べる

2022年10月16日 7:00
「いいチームはつくれたかな」阪神・矢野燿大監督退任会見 時折声詰まらせ感謝の言葉述べる
退任会見を行った阪神・矢野燿大監督
クライマックスシリーズファイナルステージで敗退した阪神の矢野燿大監督が15日、退任会見を行いました。

指揮した4年間を振り返った矢野監督は、時折声を詰まらせながらも感謝の言葉を述べました。

◇以下、矢野監督の退任会見主な一問一答

――まずはお疲れ様でした。

「ありがとうございます」

――昨夜は眠れましたか?やはりなにかいろいろと思いが巡ってきましたか?

「シーズン終わってから少し寝られる時もあったんですけど、昨日はさすがにあまり寝られずでしたけど。でも今は気持ち的にはもうスッキリしています」

――昨夜の試合をもってユニホームを脱がれるということになりましたが、率直な気持ちは?

「僕が目指す野球というのは、選手にも良くて、ファンの人にも良くて、ずっと言ってきましたけど、夢と理想を語りながらやってくる野球というのは貫けた、やり切ったという思いは持っています。でも、勝てなかった、リーグ優勝も日本一もできなかったという悔しさも同時には持ち合わせていますが、本当にチーム全体でコーチ、スタッフ、裏方、みんなが一丸となって、強いチームはつくれませんでしたけど、いいチームはつくれたかなとは思っています」

――昨日の神宮球場の試合終了の瞬間というのは、監督の中にはどういう思いが巡っていたのでしょうか?

「もちろんね、勝てるチャンスが十分にあった試合でしたので、悔しかったですし、この選手たちとまだ野球をやりたいなというのがもちろん正直な気持ちだったので、終わってしまった時は、残念というか、あっけないというか、何かそんな気持ちはありました」

――涙を流す選手もいました。選手たち、スタッフには監督の方からはどういう言葉を試合後にかけたのでしょうか?

「なんか気持ちマックスになっていっぱいしゃべったので、自分でもどんなことをしゃべったのかなというのは、思い出せないところもありますけど、でも僕は今の現役生活も、少しでも良くなるように、選手たちに伝えてきましたし、僕たちプロ野球選手は40歳までできればすごいことだと思うので、その先の人生にも何かこの一緒にやった時間が、『あんなことがあって今も頑張れているな』とか、『ああいうことがつながっているな』というような思いを続けていってほしいなという思いもあったので、そういうことも含めて、それが俺たちの野球というところで僕はずっと言ってきてたんですけど、そういうことを大事にしてくれたらうれしいし、この一緒にやった時間がそういうような気付く時間になってくれたらそんなうれしいことはないというようなことは伝えた記憶があります」

――神宮球場では矢野監督への惜別のエールも送られていたようですが、そのあたりいかがですか?

「本当に感謝しかないですね。あのような形で送り出してもらえて、タイガースファンの皆さんも悔しい思いをしている中でね、やっていただけたことなので。本当に感謝しかなかったですし、応援団の方ですかね、『俺たちの野球を貫いた』っていう横断幕を出してもらえたのも、はっきり見えましたし。この4年間やってきたものが、選手たちにはもちろん、タイガースファンの皆さんにも届けられたものがあるのかなっていうのが実感させてもらえたメッセージだったんで、本当に感激、感謝しかなかったですね」

――4年前の就任会見では「変わらない」「超積極的」「諦めない」「ファンを喜ばせる」そういったスローガンがあった。この4年間を振り返って?

「ファンの人を喜ばせるっていうところでは、やっぱり勝つっていうことがね、一番大事な部分でもありますし。リーグ優勝、日本一っていうのができてない、そういうところでは喜ばすっていうことができなかった部分もあったのかなと思いますけど。僕は監督就任させてもらう時に、今のプロ野球の魅力っていうのは、勝つことが一番喜んでもらえることだっていうのはもちろん僕も理解している上で、そこにプラスアルファの何かが必要なんじゃないかなって思ってました。それは、例えば『凡打でも全力疾走で走ろうぜ』っていう俺たちの野球の1つですけど、それを貫いた先に、子どもたちが全員ホームラン打てるわけでもないので、でも凡打でも一塁までタイガースの選手みたいに走ろうぜっていう世界観が生まれれば、勝つことプラスアルファの感動であったり気持ちの共有であったり、魅力であったりっていうのが伝えられると思ってましたし、勝つことにももちろんこだわるけど、そこのプラスアルファっていうのはずっと思い描いてやってきましたので、そういうところを一緒にやれたっていうのは僕だけじゃなくてコーチ陣、スタッフ、裏方さん、みんな力合わせてやってこられたと思うので、その部分は全員でつくり上げてこられたかなと思います」

――その中で4年目のシーズンはあえて退路を断っての集大成ということになりました。「イチにカケル!」というスローガンのもと、この1年はどのような思いでやってこられましたか?

「辞めるっていうね、退任を発表するという決断も、自分の中ですごく悩んで、でも選手たちには嘘をつきたくない、正直でありたい、そういう思いもあって。僕にとってもこれは挑戦だったので、その時はチームにとっても僕にとってもいいという選択の中で退任を発表したわけですけど、結果的にそれが開幕のスタートのつまずく原因になった可能性も、もちろんあるので、それは迷惑をかけてしまったというのは素直な部分ではあります。ただ、挑戦にはうまくいかないことがいっぱいあるので、今回の退任を発表してのシーズンを迎えるということは失敗だったのかもしれないですけど、それを選手たちが変えてくれたところがあったので、本当に最後3位になってくれたということで本当に選手たちに助けてもらいましたし、何かこの4年間で伝えてきたことが、粘り、みんなで作ってきたチームが、何かそういうようなことにつながってたのかなと思うので、自分としては今日は帰ってこないと思いながら1日1日を過ごしてきた今年だったので。まあ、そうですね、反省というかいろいろな思いがありますけど、でもやり切りました」

――4年間の中でチームに残せたと思うものは?

「それはもう皆さんが判断していただく部分も多いので、自分がね、あれやこれやっていうようなことはないですけど。やっぱりこう、ファンの人に喜んでもらうチームっていうのは、生え抜き(選手)が中心にいる中で、僕もトレードでタイガースにお世話になった身ですけど、安定して強い、そしてタイガースファンの皆さんに喜んでもらうっていうところではやっぱり生え抜きの中心選手がいるっていうのはそういうところにつながると思ってましたし。僕が受け持たせてもらった時っていうのは、ベテラン選手も多い中でね、そういう入れ替えっていうのも、やりたくてやっていることではないですけど、でもチームをつくるっていう上ではそういうことをやっていかなければならないというところで、やってきた結果、本当に今いる選手たちに、もちろんその時も一緒に戦った選手たちにも感謝の気持ちでいっぱいですし、でもタイガースファンの皆さんには可能性のある選手たちがいてもらえるというのは実感してもらえたと思うので、来年以降、本当に楽しみですし。同じ思いで戦ってくれたみんなに、そういうチームがつくれたっていう感謝しかないです」

――今後のチーム、選手たちに期待すること・望むことは?

「僕が伝えてきたことっていうのはみんな理解してくれていると思っていますし、あとどうするかは選手自身ですし、自分の人生がどうやって良くなるか、そして自分の野球がどこにつながってるか。また、そんなことも考えながら、そして、迷ったり苦しい時には何か理想にあげていた部分でね、『そうだった、一歩前に出て挑戦するんだったな』とか、『怖くても前に出るんだったな』とか、俺たちの野球の中の何かを気付くきっかけにしてもらえたらそんなうれしいことはないんで。思いっきり挑戦していってもらえたらうれしいです」

――現役で13年、指導者として7年、20年をタテジマのユニホームと共に過ごしました。矢野さんにとって阪神タイガースとは?

「そうですね。僕の人生を変えていただけたのも本当に阪神タイガースですし、まさかね、監督をやらせてもらえるとは思ってもみなかった部分もありますけど、めちゃめちゃ苦しかったですし、うまくいかないこともいっぱいあったんですけど、でもその分、勝った喜びとか、タイガースでしか味わえないこの日本一の応援を皆さんにしていただける球団っていうのは、タイガースはオンリーワンだと思うので、そういうチームに20年もね、一緒にやらせてもらえたっていうのはタイガースファンの皆さんに本当に感謝ですし。これからもっともっと喜んでもらえるような球団になっていくと思うんでね、僕も応援していきたいですし、もう感謝しかないです」

――矢野監督にとっての恩師。野村克也さん星野仙一さんにもし退任の報告をするとしたらどういう言葉が?

「どうなんですかね。もちろん僕は星野さんにもなれないし、野村さんにもなれないし、足元にも及ばないし、でも僕は僕らしくやり切りましたし、星野さんから教えてもらえたこと、野村さんから教えてもらえたことっていうのは、やっぱり僕の体であったり頭の中にたたき込んでいただけたものっていうのがあるので、自分の口から伝えてることも『これは星野さんの言葉だったな』、『これは野村さんに教えてもらったことだったんだな』っていうのは、この4年間の中でもずっとたくさんあったと思うので、一緒に気持ちの熱い監督・星野さんとやらせてもらえて、そういう部分は学ばせて頂いて、『強いものが勝つんじゃない、頭を使ったりすることで勝てるチャンスも十分にあるんだよ、もっと上手くなれるんだよ』というのを野村さんに教えてもらえたので。そのおすそ分けは選手にしていけたと思うので。僕は僕なりに、僕らしい監督を精いっぱいやってきましたという報告はしますけど、どう言っていただけるかは分からないですね」

――今日の退任会見は1つの区切りになるかと思います。今一番やってみたいことはありますか?

「一番は…ありすぎてねえ(笑)。やっぱりチームで動いている以上、いろいろなルールもある中で、人に会うこともなかなかできなかったですし。家族もね、ゆっくりというのはなかなかできなかったですし。いろいろな人に会ったり、それこそこれからはしていけるので、そういうこともやっていきたいですね」

――今後はどのような形で野球と関わっていきたいですか?

「僕の夢はまだ続くんでね。子どもたちを笑顔にしていくというのも僕の大きな夢ですし。…(※声詰まる)。しばらくはゆっくりしますけど、また挑戦していきたいなと思います」

――最後に阪神タイガースのファンの皆さんへメッセージを。

「本当に、勝つ喜び、優勝の喜びは皆さんに届けられなかったですけど、タイガースの選手たちの魅力というのは伝わったところもあったのかなと思っています…(※声詰まる)。コロナ禍という難しい時でしたので、ファンの皆さんもすごく難しかったと思いますし、その中でも今シーズンも12球団一の皆さんに来ていただいたり、熱い日本一の応援をしていただいたっていうのは…(※声詰まる)本当にありがたかったなって。僕もまた来年からはタイガースファンとして、タイガースが良くなるような、僕に何ができるか分かりませんけど、応援はしっかりしていきながら、そして自分もまた挑戦していくような人生を歩んでいきたいなと思っています。本当に4年間本当にありがとうございました」
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