松坂「好きなまま終われた」引退会見2
“平成の怪物”と呼ばれ、今季限りでの現役引退を表明しているプロ野球・西武の松坂大輔投手(41)が19日、愛着がある背番号
「18」のユニホームを身にまとい引退会見。「(野球が)好きなまま終われてよかった」と、笑顔で語りました。
▽以下、会見の一問一答
――プロ生活振り返って
「23年。本当に長くプレーさせてもらいましたけど、半分以上は故障との戦いだったなと思います。最初の10年があったからここまでやらせてもらえたと思っていますし、僕みたいな人なかなかいないかもしれないですね。一番いい思いと自分で言うのも何ですけど、どん底も同じくらい経験した選手っていうのはいないかもしれないですね」
――自身から見た松坂大輔は?
「まあ長くやった割には、思っていたほどの成績残せなかったなって思います」
――かなり辛口な評価になりますね?
「そうですね。通算勝利数も170個積み重ねてきましたけど、ほぼ最初の10年で勝ってきた数字っていうんですかね。通算150が2010年くらいだったかな。自分のその肩の状態とか良くなかったですけど、そこからさらに上乗せできると思っていました」
――褒めてあげたい部分はどんなところですか?
「何だろう。選手生活の後半はたたかれることの方が多かったですけど、それでもあきらめずに“あきらめの悪さ”を褒めてやりたいですね。もっと早く辞めてもいいタイミングはあったと思いますし、なかなか思ったようなパフォーマンスが出せない時期が長くて、自分自身苦しかった。その分たくさんの方にも迷惑かけてきましたけど、よくあきらめずにここまでやってきたなと思います。最後はもう、これまでは、たたかれたり批判されたりすることに対して、それを力に変えてはね返してやろうとやってきましたけど、もうやっぱり最後はそれに耐えられなかったですね。最後本当に“心が折れた”というか、今まではエネルギーに変えられたものが受け止めて、はね返す力がもうなかったですね」
――23年間で印象に残っている試合、楽しかった勝負は?
「その質問されるだろうなと思って考えていたんですけど、ベストピッチングだったり、ベストゲームだったりいろいろありすぎて。なかなかこの人、この試合、この一球を決めるのは難しいですね。見て感じるもの、記憶に残るものは人それぞれ違うので何かをきっかけに『松坂、あんなボール投げていたな』『あんなバッターと対戦していたな』『あんなゲームあったな』って思い出してくれたらいいかなと思います」
――18番に対する思いは?
「小さい頃にプロ野球を見始めてほぼジャイアンツ戦しかやっていなかったので、桑田さんの『背番号18』がものすごくカッコ良く見えて、その当時はエースナンバーって知らなかったですけどね。最初に受けた衝撃はそのまま残っていたと言うんですかね、だからエースナンバーと知る前から『プロに入って野球をするなら18番つけたい』と思ってずっとやっていましたし、「18」という数字こだわってきたというか周りに、『いい加減にしろ』といわれるぐらい1と8をつけたがる自分がいましたね。途中、背番号が変わることがありましたけど、最後に18番をつけさせてくれた球団には感謝しています」
――最後ファンにどんな姿を見せたいですか?
「本当は投げたくなかったですね。いまの自分の体の状態もあるし、この状態でどこまで投げられるかもありました。もうこれ以上ダメな姿を見せたくないと思っていたんですけど、『やっぱり最後はユニホーム姿でマウンドに立っている松坂大輔をみたい』と言ってくれる方々がいたので、もうどうしようもない姿かもしれませんけど、最後の最後に全部さらけ出して見てもらおうと思いました」
――試合の後セレモニーは?
「特にセレモニーとかはないんですけど、セレモニーに関してはまたファン感謝デーのときにやらせてもらえるということなので、そこで改めてファンの方々には何か伝えられたらいいなと思っています。きょうは試合後にグラウンドを1周してスタンドに挨拶だけは行かせてもらいます」
――ファンへの言葉はファン感謝デーのときに?
「きょうやるとナイターですし,みなさんも時間ないと思うので別の日にしたほうがいいかなと僕の“気遣い”です」
――最後までファン思い?
「終電もありますし」
――松坂大輔選手にとって野球は?
「気の利いたこと言えたらいいんですけどね。5歳ぐらいから始めて35年以上になりますけど,ほぼここまできたぼくの人生そのものだと言えますし。その中で、本当にたくさんの方々に出会えて助けてもらってここまで生かされてきたと思います。本当に皆さんには感謝しています。その思いを込めて何球投げられるかわからないですけど、最後のマウンドに行ってきたいと思います。本当にありがとうございました」
――つらい後半10年、野球への思いが揺らぐことはあったか?
「僕だけでなくて、ほかにもケガをしている選手、なかなか結果が出ない選手がいると思うんですけど、すごく苦しいんですよね、周りの方が思っている以上に。僕の場合は野球を始めたことから変わらない野球の楽しさ、野球が好きだとその都度思い出して、なんとか消えないように戦っていた時期はありますね。どんなに落ち込んでも最後には『やっぱり野球が好きだ』と『まだまだ続けたい』と、後半はギリギリのところでやっていたなと思いますね。いつその気持ちが消えてもおかしくなかったと思います」
――野球が大好きな気持ちは変わらないですか?
「好きなまま終われてよかったです」