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【全日本大学駅伝】箱根連覇へ、駒澤が弾み

2021年11月8日 17:42
【全日本大学駅伝】箱根連覇へ、駒澤が弾み

7日、秩父宮賜杯第53回全日本大学駅伝対校選手権大会が、愛知・熱田神宮~三重・伊勢神宮で行われ、27チームが熱戦を繰り広げました。優勝争いは最終盤までもつれましたが、駒澤大学が青山学院大学との接戦を制し、2年連続14回目の優勝を飾りました。

■主力不在をはね返した駒澤大学

駒澤大学は、1区で1年生の佐藤条二選手が、前回大会で当時1年生の三浦龍司選手(順天堂大学)が樹立した区間記録を2秒上回り、区間新記録を樹立する快走を見せます。吉居大和選手(中央大学2年)、島崎慎愛選手(國學院大学4年)ら実力者とのスパート合戦も制し区間賞と、上々のスタートを切りました。

しかしその後が苦戦し、3区が終わった時点で11位に後退。少しずつ盛り返したものの、5区を終えて9位、先頭とは1分51秒差が付いていました。

そこから「6区、7区、8区で前に行こうと話していた」という大八木弘明監督の策がずばり的中します。

6区の安原太陽選手(2年)が5人を抜いて4位に浮上すると、7区に配されたエースの田澤廉選手(3年)は、1分36秒差あったトップの東京国際大学を逆転し、奪首に成功。また、ほぼ同時にスタートした青山学院大のエース近藤幸太郎選手(3年)にも18秒差を付けて、アンカーの花尾恭輔選手(2年)につなぎました。

花尾選手はロード競技に強く、大学三大駅伝には田澤選手とともに皆勤中で、安定感を買われ、最終区に抜擢されました。8kmで青山学院大学の飯田貴之選手(4年)に追いつかれはしましたが、先頭を譲ることなく、勝機をうかがいながらレースを進めました。そして、残り2kmでロングスパートを仕掛け、真っ先に伊勢神宮内宮前のフィニッシュに飛び込みました。

もともと前評判が高かった駒澤大学でしたが、出雲駅伝に続き、鈴木芽吹選手(2年)、山野力選手(3年)ら主力を起用できず、また、今回初めて三大駅伝に出場する選手が半数の4人とフレッシュな顔ぶれだったこともあり、大八木監督は「3位以内」と目標を控えめに設定していました。

その逆境をはね除けての優勝に、箱根駅伝連覇に向けても弾みを付けました。佐藤選手や赤星雄斗選手(2年)ら新しい戦力が駅伝を経験できた上に、鈴木選手らが戦列に復帰した時には、さらに強力な布陣を築くことができそうです。

■厚い選手層の青山学院大学

2位に終わった青山学院大学でしたが、優勝した駒澤大学との差「8秒」は、大会史上最小の僅差でした。

あと一歩届きませんでしたが、「登録メンバー16人、どの選手を走らせてもいいくらいの状態だった」と原晋監督が話すように、分厚い選手層を誇ります。近藤幸太郎選手(3年)は、トラック種目だけでなく駅伝でも田澤選手と渡り合うなど、エースとしての活躍を見せ、さらに岸本大紀選手(3年)は3区で日本人トップの区間3位と快走。1年時に箱根駅伝2区で快走した岸本選手は、大腿骨(だいたいこつ)疲労骨折で長い間戦列を離れていましたが、今大会で完全復活をアピールしました。核となる選手を擁している上に、箱根駅伝では特殊区間の5区・6区の経験者もおり、駒澤大学とともに優勝候補の一角と見られています。

■実力きっ抗 箱根のカギはエース=「ゲームチェンジャー」の配置

今回の全日本大学駅伝は、目まぐるしく先頭が入れ替わる凸凹駅伝となりました。各中継所でトップに立ったチームは以下の通りで、大混戦でした。

・第1中継所(1区→2区) 駒澤大学
・第2中継所(2区→3区) 順天堂大学
・第3中継所(3区→4区) 東京国際大学
・第4中継所(4区→5区) 東京国際大学
・第5中継所(5区→6区) 早稲田大学
・第6中継所(6区→7区) 東京国際大学
・第7中継所(7区→8区) 駒澤大学
・フィニッシュ 駒澤大学

実力差がきっ抗しているだけに、1区間ごとの順位変動が大きかったのも今大会の特徴でした。

優勝した駒澤大学と2位の青山学院大学も、区間順位が二桁だった区間が2つずつあったにもかかわらず、そこから優勝争いを繰り広げるまで立て直しました。

この2校の他にも、爆発力のあるエースの存在が、浮沈の鍵となりました。

順天堂大学は、東京オリンピックで男子3000m障害7位と活躍した三浦龍司選手(2年)の2区区間賞の快走で流れに乗り、3位と躍進しました。

また、出雲駅伝を制した東京国際大は、出雲に続く二冠はなりませんでしたが、5位と健闘。留学生のイェゴン・ヴィンセント選手(3年)が3区区間新記録の好走。丹所健選手(3年)も、足底のケガ明けにもかかわらず、6区区間新記録と活躍しました。

全長106.8km、8区間の全日本大学駅伝から倍に距離が延び、区間も10区間に増える箱根駅伝では、レースの流れを変えられる「ゲームチェンジャー」の存在とその区間配置が、いっそう重要になってきそうです。

出雲駅伝、全日本大学駅伝を終え、いよいよ約2か月後に箱根駅伝を迎えます。


写真:日刊スポーツ/アフロ SportsPressJP/アフロ
写真上は駒澤大の花尾選手、下左から青学大の飯田選手、順大の三浦選手、東京国際大のヴィンセント選手

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