「東尋坊でダイブ」日本唯一のハイダイバー荒田恭兵 高さ27mから飛び込み笑顔 玉井陸斗を勧誘エピソード【世界水泳選手権】
ハイダイビング男子決勝が行われ、男女通じて日本唯一の競技者、荒田恭兵選手が出場しました。
ハイダイビングの男子はビルの9階に相当する27mの高さから飛び込む競技で、入水時のスピードはおよそ時速85キロ。大きな衝撃のため高飛び込みとは違い、足から入水することがルールで定められ、今大会は4本飛んだ合計得点で競います。
前日26日に行われた1-2ラウンドで23人中22位だった荒田選手。決勝に相当する3-4ラウンドでは、名前がコールされると観客から大歓声が送られます。多くのファンに見守られながら荒田選手は27m下の水面にめがけ、ひねりや回転などの技を加え一気にダイブ。着水直後はサムズアップで笑顔を見せました。4本飛び終え合計222.65ポイント、前日から順位をあげ20位で世界選手権を終えました。
今回世界選手権に初出場した荒田選手を、日本テレビ「news zero」で安村直樹アナウンサーが去年取材。荒田選手が練習を行っていたのは、垂直に切り立った崖で知られる福井県の東尋坊でした。
崖から海面までの高さはおよそ22メートルと安村アナウンサーの足もすくむ高さの中、水着に着替えた荒田選手は海面に向かってダイブ。東尋坊に訪れた観光客からは驚きの声と称賛の拍手が送られました。
荒田選手はハイダイビングを始めたきっかけを聞かれると「日本人で誰もやっていなかったから。ハイダイビング一人目だったら日本代表になれるから、世界と戦いたいというのもありました」と笑顔で話しました。
高飛込でパリ五輪代表に内定している16歳の玉井陸斗選手とは交流があるそうで「『前にハイダイビングどう?』みたいな感じで聞いたら『やらないです』って即答されました(笑)」と、知られざる勧誘エピソードを教えてくれました。
また競技に取り組む大変さとしてあげたのは「練習場所の確保」。この日練習を行っていた東尋坊だけでなく岐阜県の郡上八幡や静岡県の牛着岩などで練習を行っていますが、適した場所の確保と許可取りが困難な点だといいます。
世界選手権を終え、大舞台で空を舞った荒田選手は「ここまで声援を受けたことは生まれて初めて。実際にやっているのは1人かもしれないが、それを支えている人は数え切れないくらいたくさんいることを痛感した。本当に感謝しかない」と感無量の表情で感謝の思いを口にしました。